ビジネスフォンの主装置とは?役割・仕組み・価格やPBXとの違いを解説!

ビジネスフォンの主装置とは?役割・仕組み・価格やPBXとの違いを解説!

ビジネスフォンを調べていると必ず出てくるのが「主装置」という用語。多機能電話機だけではビジネスフォンは使えない?主装置とはなに?

そんな疑問を解消したい方に向け、役割・仕組み・価格から、混同しやすいPBXとの違いまで、ビジネスフォンに欠かせない主装置の基本をわかりやすく解説していきます。

 

目次
  1. 1. 主装置と電話機のセットがビジネスフォン
    1. 1-1. 主装置の役割はビジネスフォンへの機能実装
  2. 2. ビジネスフォン / 主装置の仕組み
    1. 2-1. 主装置に組み込めるユニットの種類
    2. 2-2. オフィス規模に応じた主装置のサイズ
    3. 2-3. 主装置に対応する専用電話機が必要
    4. 2-4. 主装置と電話機の配線方法
  3. 3. ビジネスフォン / 主装置の価格
  4. 4. ビジネスフォン / 主装置の耐用年数
    1. 4-1. ビジネスフォン / 主装置は古いほど故障リスクが高まる
  5. 5. ビジネスフォン / 主装置とPBXの違い
    1. 5-1. PBXは大規模事業所向け電話システム
    2. 5-2. クラウドPBX(クラウド型ビジネスフォン)とは
  6. 6. ビジネスフォン / 主装置の選び方
    1. 6-1. 電話機の台数 / チャンネル数(回線数)
    2. 6-2. 将来的な電話機の増設
    3. 6-3. 機能 / 価格
  7. 7. ビジネスフォン / 主装置の基本を紹介しました

主装置と電話機のセットがビジネスフォン

主装置とは、外部からの「外線」とオフィス内の「内線」を収容し、接続された複数の電話機に発信 / 着信を割り振る小型「電話交換機」のこと。つまり、主装置、および主装置に接続された電話機をセットにした業務用電話システムを総称したものが「ビジネスフォン」です。

ビジネスフォンは主装置と専用電話機の組み合わせ

画像出典:株式会社バルテック

業務用電話システムであるビジネスフォン は、オフィスの電話業務を効率化するさまざまな機能を搭載しています。

  • 複数台の電話機で外線同時発信 / 着信
  • オフィス内電話機同士の内線通話
  • 着信の保留転送
  • 電話帳 / 録音機能
  • 通話履歴 / リダイヤル
  • IVR(自動音声応答)

こうしたビジネスフォンの機能は、外線 / 内線 / 電話機を制御する「主装置」と、端末である「専用電話機」を組み合わせることで実現できるのです。

主装置の役割はビジネスフォンへの機能実装

ただし、主装置は単なる「電話交換機」ではありません。上述したビジネスフォンの機能は、主装置があるから実現できることであり、それこそがビジネスフォンにおける主装置の役割です。

ビジネスフォンというと、オフィスで目にする多機能電話機をイメージするかもしれませんが、機能を実装する役割を担うのは主装置。電話機は単なる端末であり、主装置に接続されていなければ電話機は「なにもできない」のです。

ビジネスフォンの概要については以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:ビジネスフォンとは?導入前に知っておきたい基本・選び方のポイントを解説!

ビジネスフォン / 主装置の仕組み

それでは、主装置は専用電話機を使ってどのようにビジネスフォンの機能を実現しているのか?ビジネスフォン / 主装置の基本となる仕組みを簡単に解説していきましょう。

主装置に組み込めるユニットの種類

主装置は、スロットを備えた「本体」と「ユニット(基盤)」を組み合わせることでビジネスフォンの機能を実現しています。具体的には、特定機能を持つユニットを主装置本体のスロットに組み込むことで、ビジネスフォンの機能を拡張していく仕組み。PC用マザーボードに、CPUや拡張カードを組み込むことをイメージするとわかりやすいでしょう。

ユニットは、最初から主装置に組み込まれているもの、あとから交換 / 増設できるものがありますが、主装置本体の性能上限を超えるユニットは組み込めません

主なユニットの種類を簡単に紹介しておきます。

CPUユニット

PCと同様、ビジネスフォンすべての機能を制御する役割を持つのが「CPUユニット」です。主装置に応じた適切なCPUユニットが最初から組み込まれている場合が一般的。大規模事業所向けの主装置では、万一の故障に備えてCPUユニットを二重化していることもあります。

外線ユニット

電話回線を接続し、電話機へ着信 / 電話機から発信させる役割を持つのが「外線ユニット」です。外線ユニットは「アナログ」「ISDN」「ひかり電話 / IP電話」を組み合わせて接続できる場合が一般的。標準で組み込まれてはいますが、主装置に設けられた上限まで外線を増設することも可能です。

内線ユニット

主装置と専用電話機を接続し、内線通話を可能にする役割を持つのが「内線ユニット」です。内線ユニットも標準で組み込まれていますが、8台、もしくは16台単位で接続する電話機を増設することも可能。外線ユニットと同様、主装置に設けられた上限まで内線数を増やせます。

単独電話機ユニット

FAX / 家庭用電話機などを主装置と接続するためのユニットが「単独電話機ユニット」です。オフィスでは複合機などを接続するのに利用される場合がほとんどですが、デザイン電話機などを受付用として設置するのにも便利。2台、もしくは4台を接続できるユニットが一般的です。

拡張ユニット

オプションとして用意されている機能を主装置に追加する際に利用されるのが「拡張ユニット」です。代表的なものとしては、ドアホンを接続してビジネスフォン に知らせる「ドアホンユニット」が挙げられるでしょう。

そのほかにも、ボイスメール、留守番電話、IVRなど、さまざまな機能を追加する各種ユニットを利用できます。

オフィス規模に応じた主装置のサイズ

主装置にユニットを追加し、機能を拡張していけるという特徴を持つビジネスフォンではありますが、ハードウェアならではの「上限」も存在します。つまり、主装置本体の持つ性能を上回る機能拡張はできません。

一般的に、ビジネスフォン / 主装置には、最適な機能を適切な価格で導入できるよう「オフィス規模に応じたサイズ」が用意されています。たとえば、小規模オフィス向けの「Sタイプ」、中規模オフィス向けの「Mタイプ」、大規模オフィス向けの「Lタイプ」など。それぞれのタイプは、オフィスサイズに応じた異なる「上限」が設定されています。

NTTのビジネスフォン「SmartNetcommunity αZX」シリーズを例に、各主装置の上限外線数 / 内線数の違いを紹介しておきましょう。

「SmartNetcommunity αZX」

画像出典:NTT東日本

 

typeS

typeM

typeL

外線数

ひかり電話

1回線

8チャン

ネル

あわせて

8チャン

ネル

2回線

12チャン

ネル

あわせて

12チャン

ネル

初期:

24チャン

ネル

あわせて

初期:

24チャン

ネル

最大:

192

チャン

ネル

あわせて

最大:

192

チャン

ネル

アナログ

回線

4回線

4チャン

ネル

12回線

12チャン

ネル

初期:

24チャン

ネル

最大:

144

チャン

ネル

ISDN

2回線

4チャン

ネル

6回線

12チャン

ネル

初期:

24チャン

ネル

最大:

144

チャン

ネル

電話機台数

スター配線

10台

あわせて

10台

40台

あわせて

40台

初期:

80台

あわせて

80台

最大:

480台

あわせて

最大

576台

LAN配線

10台

40台

初期:

80台

最大:

576台

※チャンネルとは「同時通話数」のこと。ひかり電話やISDN回線では、1つの電話番号で複数の同時通話が可能。

一般的なオフィス向け以外にも、NTT「SmartNetcommunity αB1」のようなSOHO / スモールオフィス向けビジネスフォンもあります。ひかり電話 / IP電話2チャンネル、最大8台までの内線に対応しているため、個人事業主のオフィスにも最適。アナログ2回線を収容できる「主装置内蔵タイプビジネスフォン」も選択できます。

「SmartNetcommunity αB1」

画像出典:NTT東日本

主装置に対応する専用電話機が必要

内線数(電話機数)を増設できる主装置ではありますが、どんな電話でも接続できるわけではありません。ビジネスフォン増設用の電話機は、主装置に対応する専用電話機が必要。見た目が似ていても、非対応の電話機を接続すると正常に動作しないため、増設用の電話機を調達する際は注意が必要です。

一般的には、複数のボタンを配置した多機能電話機を利用しますが、対応するコードレスフォンを子機のように扱うことも可能です。

ビジネスフォンのコードレス電話機については以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:ビジネスフォン子機の増設方法|コードレス電話機の種類・おすすめも紹介!

主装置と電話機の配線方法

ビジネスフォンは主装置と電話機の組み合わせとなるため、それぞれを接続しなければ利用できません。機種によって異なりますが、ビジネスフォンの配線方法(接続)は大きく「バス配線」「スター配線」「LAN配線」の3つ。それぞれを簡単に解説しておきましょう。

主装置と電話機の配線方法

画像出典:NTT技術ジャーナル

バス配線とは、中継機を介して主装置と電話機をモジュラーケーブル(電話線)で接続する配線方法のこと。中継機から電話機に接続するため、オフィス内配線をすっきりまとめられることがメリットです。

スター配線とは、主装置の内線ユニットと電話機を、モジュラーケーブルで1対1接続する配線方法のこと。シンプルで配線しやすいメリットがある一方、オフィス内工事は煩雑になりがちです。

LAN配線とは、社内LANを流用して主装置と電話機を接続する配線方法のこと。主装置と電話機はIPアドレスで通信するため、IP電話機が必要です。

ビジネスフォン / 主装置の価格

気になる主装置の価格は、ベーシックなSタイプが新品で20万円程度から、といったところが相場観。もちろん、主装置だけではビジネスフォンとして機能しないため、電話機の費用および工事費も必要です。

専用電話機は新品でおよそ3万円程度からとなるため、電話機3台のビジネスフォンを導入するには主装置とあわせて約30万円。工事費とあわせ、約35〜36万円程度の予算を用意しておくといいでしょう。

ビジネスフォン / 主装置の耐用年数

機械装置であるビジネスフォン / 主装置は、永続的に使い続けられるわけではありません。どこかのタイミングでビジネスフォン / 主装置のリプレイスが必要。では、ビジネスフォン / 主装置はどのくらい使い続けられるのか?

ビジネスフォン / 主装置の法定耐用年数は「6年」と定められているため、5〜7年程度のリース契約が満了する時点で「買い替える」法人が多いようです。

ビジネスフォンのリース契約については以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:ビジネスフォンのリース料金相場|契約前に知っておきたいリースの基本を解説!

ビジネスフォン / 主装置は古いほど故障リスクが高まる

ただし、法定耐用年数は「機械設備を減価償却する年数」であるため、ビジネスフォン / 主装置の製品寿命とイコールではありません。実際、ビジネスフォン / 主装置は、丁寧に扱えば10〜15年程度は使えるといわれています。

一方、耐用年数を超えたビジネスフォン / 主装置は、故障リスクが高まることも事実。製造年が古くなるほどこの傾向は顕著です。また、修理パーツの供給を含め、製造終了から6〜7年でメーカーサポートが終了することにも注意が必要。少なくとも、メーカーサポートが終了する前には、ビジネスフォン / 主装置買い替えを検討するのがおすすめです。

ビジネスフォンの買い替え時期については以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:ビジネスフォン買い替えを検討すべき時期は?買い替え・交換方法や注意点を解説!

ビジネスフォン / 主装置とPBXの違い

ビジネスフォンや主装置について調べていると「PBX」「クラウドPBX」という用語を頻繁に目にすることに気が付くはず。どちらも外線 / 内線を収容して複数の電話機に割り振る「電話交換機」であることには変わりありませんが主装置とは異なるものです。

その違いを簡単に解説しておきましょう。

PBXは大規模事業所向け電話システム

主装置とPBXは、構内に設置するハードウェアという点が共通しています。一方、主装置で構成されるビジネスフォンが単一のオフィスを対象とするのに対し、PBXは大規模事業所向けという点で異なります。

具体的には、コールセンターやホテルシステム、ナースコールなどで主に利用される業務用電話システムがPBXです。そのためPBXは、CTIなどのコールセンターシステム、CRM(顧客管理システム)などのPCシステムと連携可能。ビジネスフォン / 主装置が数台〜数百台までの電話機接続を前提とするのに対し、PBXは数千台の電話機接続にも対応できます。

クラウドPBX(クラウド型ビジネスフォン)とは

クラウドPBXとは、ビジネスフォンの主装置にあたる機能をクラウドサービスとして提供する電話システムのこと。ビジネスフォン / PBXが物理的なハードウェアであるのに対し、インターネット経由で利用することがクラウドPBXの特徴です。

このため、インターネット環境さえあればハードウェアを導入することなく、初期費用を抑えながらビジネスフォン環境を素早く導入可能。IP電話機、PC、スマートフォンなど、電話機となる端末を柔軟に選べるため、小規模オフィスから複数拠点を持つ企業まで、幅広く利用されています。

ビジネスフォン / 主装置の選び方

ここまでの解説で、主装置とはなにか?ビジネスフォンに欠かせないのはなぜか?大まかに把握できたのではないでしょうか。最後に、それらを踏まえた上で最適なビジネスフォン / 主装置を選ぶポイントを紹介しておきましょう。

電話機の台数 / チャンネル数(回線数)

まず考えるべきは、オフィスに必要な電話機の台数および、チャンネル数(同時通話したい外線数)を明確にすることです。

一般的には、オフィスに常設するデスク数(従業員数)+ 会議室分の電話機および、従業員数の1/3にあたるチャンネル数が必要だといわれています。もちろん、ビジネスモデルによって必要数は異なるため、過不足のないようじっくり検討しましょう。

将来的な電話機の増設

オフィスの拡張や従業員の増員など、将来的な電話機増設の可能性も加味してビジネスフォン / 主装置を選定することがポイントです。

なぜなら、主装置は収容できる外線数(チャンネル数)/ 接続できる電話機の上限が定められているから。ある程度拡張できる余地のある主装置を導入しておけば、まだまだ使えるビジネスフォン / 主装置を買い替えるという選択をしなくて済みます。

機能 / 価格

ビジネスフォンに求める機能を明確にし、価格とのバランスを考えながら最適な製品を導入しましょう。技術の進化にともなって、ビジネスフォンの高機能化も進んでいますが、いくら高機能 / 多機能でも使わないのでは意味がありません。

ビジネスフォンを使ったことがなく、どんな機能が便利に使えるかわからないのであれば、レンタルビジネスフォンで使い勝手を試してみる方法もあるでしょう。

レンタルビジネスフォンについては以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:レンタルビジネスフォンの料金・仕組み|リースとの違いや利用シーンも解説!

ビジネスフォン / 主装置の基本を紹介しました

ビジネスフォンを調べていると必ず出てくる主装置とはなに?そんな疑問を解消したい方に向け、役割・仕組み・価格から、混同しやすいPBXとの違いまで、ビジネスフォンに欠かせない主装置の基本をわかりやすく解説してきました。

オフィスの電話業務を効率化するビジネスフォン必須の設備であることは現在も変わりありません。その重要な要となるのが主装置です。本記事の内容も参考にしながら、適切なビジネスフォン / 主装置を導入してください。