ITコストの削減方法とは!効果やポイント、注意点を解説

ITコストの削減方法とは!効果やポイント、注意点を解説

ソフトウェアの導入などによって発生するITコスト。このITコストを削減することは、収益向上において非常に重要です。

そこで本記事ではITコストの具体的な内訳や削減方法、削減事例などをまとめて解説します。

目次
  1. 1. ITコストの主な内訳は2つ
    1. 1-1. 直接的なコスト
    2. 1-2. 間接的なコスト
  2. 2. ITコストの削減方法とは
    1. 2-1. 無駄なコストを洗い出す
    2. 2-2. 新技術や新設備の導入
    3. 2-3. 業務の効率を向上させる
  3. 3. ITコストの削減が難しい理由とその対策
    1. 3-1. 計画が不十分なまま進行しがちだから
    2. 3-2. IT人材が不足しているケースが多いから
  4. 4. ITコスト削減事例
    1. 4-1. 日本電気株式会社(NEC)
    2. 4-2. 株式会社パルコ
    3. 4-3. オリンパス株式会社
  5. 5. 自社にあった方法でITコスト削減を目指しましょう

ITコストの主な内訳は2つ

直接的なコスト

ハードウェア費、ソフトウェア費、ネットワーク費、

IT設備の導入費、外部委託費

間接的なコスト

システム運用に関連する人件費、場所代、コミュニケーションコスト

取り組むことで大幅なコスト削減が可能になり、利益改善に大きく貢献するため、ITコストの削減は非常に重要です。

「活用できていないソフトウェアはないか」「IT機器に過剰な維持コストを払っていないか」といった支出の見極めを行い、不必要なものは削減していきましょう。

ITコストは「直接的なコスト」と「間接的なコスト」に分類できるため、この2つに分類した上で精査するのがおすすめ。

まずはそれぞれのコスト項目の詳細について解説していきます。

直接的なコスト

直接的なコストはITシステムを成り立たせるために外部に支払っているコストのこと。

具体的な例としては以下の支出項目が挙げられます。

例:ハードウェア費、ソフトウェア費、ネットワーク費、IT設備の導入費、外部委託費など

このように該当する項目が多く、無駄な支出が発生しやすいため注意が必要です。

間接的なコスト

間接的なコストはシステム運用に関連する人件費や場所代などのことを指しますが、見落としがちなのがコミュニケーションコスト。携わるスタッフが増えるのに比例して情報伝達に時間も労力もかかるようになります。

少ない人数で運営する場合に比べて効率が落ちてしまうことが多いため、コミュニケーションコストも踏まえて支出を見極めることが重要です。

ITコストの削減方法とは

ITコストの削減方法とは

ITコストは項目が多く、各サービスや機器の利用状況はスタッフによって様々。

そのため、「費用対効果について担当者しかわからない」「活用状況を把握しきれない」といった問題が発生します。

ここから解説する4つのポイントを踏まえ、ITコストの削減に取り組んでいきましょう

無駄なコストを洗い出す

最初に取り組むべきなのが無駄なコストの洗い出し。ITコストが大きくなってしまっているほとんどの会社ではコストのブラックボックス化が発生しています。

以下の項目を全て把握できているか、しっかりと確認しましょう。

  • 利用している全てのITサービス
  • 各サービスや機器の費用対効果や契約の更新時期、運用・保守費用

これらの情報が把握できていない状態では的確なコスト削減を行うことは難しいでしょう。

まずは現在発生しているITコストの内訳を明らかにし、削減の余地があるかを見極めることが非常に重要です。

洗い出しのために、業務フローの整理を行います。

業務フローを整理し、「各業務にどれほどのお金がかかっているのか」「無駄な作業が発生していないか」をもれなく見極めるのが目的。

この整理により、どの部分のコストに削減余地があるかを可視化することができます。

新技術や新設備の導入

直接的なコストの削減方法として有効なのが新技術や新設備の導入で、システムの統合やダウンサイジングによりコストが削減できます。

ただ初期投資が必要で支出が一時的に増加するため、注意が必要。

また最近ではソフトウェアと同等の機能を廉価で提供するクラウドサービスも増えており、そういったサービスの導入も有効になっています。

業務の効率を向上させる

不要な手間を省く業務効率化もITコストの削減において非常に重要です。同じ時間でより多くの業務を行い、より多くの売り上げを生み出すことで売り上げに対するITコストの割合は少なくなります。

業務効率化を行う3つの方法について解説します。

スタッフ教育に力を入れる 

1つ目が「スタッフ教育に力を入れる」こと。

IT教育により各スタッフのレベルが向上することで情報共有も円滑になり、コミュニケーションコストなどの間接コスト削減にも貢献するというメリットがあります。

取り組みやすく、短時間で実施可能な社内セミナーやマニュアルの整備といった教育から始めるのがおすすめです。

知識を共有する仕組みをつくる 

2つ目は「知識を共有する仕組みをつくる」こと。情報は分散しやすく、属人的になりがちという課題を多くの企業が抱えています。

知識を共有する仕組みは既存社員に向けてだけでなく新しく入った従業員のオンボーディングにも活用できるというメリットがあるため、早い段階での構築がおすすめ。

誰でもアクセスできる形で情報を集約して共有することが重要で、社内FAQの整備や共有の仕組みづくりを行いましょう。

ルーティンワークの自動化

3つ目はルーティンワークの自動化。ツールの導入により単純作業を効率化・自動化することで、より重要な業務に時間を割くことができるという大きなメリットがあります。

例えば、最近ではデータ入力や単純な処理といった定型業務をロボットが自動的に行うRPA(Robotic Process Automation)というツールも増えています。業務フローの整理によりルーティンワークも洗い出せるため、自動化を積極的に推進していきましょう。

関連記事:RPAの活用場面や導入の成功事例をわかりやすく紹介

ITコストの削減が難しい理由とその対策

ITコストに課題感を感じる企業は多くある一方、改善しきれていない企業がほとんどというのが実情です。

ITコストの削減が難しい理由を2つ、そしてその解決策をそれぞれ解説していきますので、ぜひそれぞれの項目に注意して取り組んでみてください。

計画が不十分なまま進行しがちだから

新サービスの導入や無駄の削減に取り組んだものの、かえって生産性が下がってしまう場合やほとんど効果が得られない場合があります。

その多くは計画が不十分なまま進行してしまったことが原因。

コストだけを考えて生産性を度外視してしまうケースや、短期的なコストカットを追求してしまうケースが散見されます。

「ITコストの削減に取り組んだものの効果が得られない」という最悪のケースを避けるために、以下の2つの対策を意識するのがおすすめです。

【対策①】事前にシミュレーションを行う

1つ目が事前のシミュレーション。通常、IT機器やソフトウェアの導入、業務フローの再構築には多くの変更が伴います。そのため見切り発車で始めてしまうと、失敗を招く可能性が非常に高いです。

例えば、「新たな運用に多くの手間がかかり、本来の業務に支障をきたす」「時間をかけて変更したものの、期待する効果が得られない」といった失敗が考えられます。

さらにIT機器や情報を扱うシステムの場合、一度変更すると元に戻すのは簡単ではありません。

そのため、事前のシミュレーションが非常に重要になります。

特に、以下のような項目についてしっかりとシミュレーションを行いましょう。

  • 削減できるコスト
  • 業務への影響
  • 導入・運用の効率
  • コミュニケーションコストの増大
  • (初期投資がある場合は)回収期間

この時、見落としがちなのがコミュニケーションコストなどの間接的なコスト。

新たなシステム・機器の導入や、業務フローの変更に伴ってコミュニケーションは増大しやすいため、この点についてもしっかりと考慮しましょう。

【対策②】目先のコスト削減だけにとらわれない

2つ目の対策として重要なのが、目先のコスト削減だけにとらわれないようにすることです。

目先のコストは、「安価なシステムへの変更」や「生産性の低い機器を使い続ける」といった形で簡単に削減することができます。

ただこれは生産性や運用にかかるコスト、そして長期的なコストを度外視しているため注意が必要。

本当に重要なのは目先のコスト削減ではなく、長期的な目線でのコスト削減だということを改めて認識しましょう。

長期的な視点で見て費用対効果が最も高い取り組みを選ぶことが重要です。

IT人材が不足しているケースが多いから

ITコストの削減が難しい2つ目の理由はIT人材の不足。

例えば単純作業を自動化するRPAを導入しようと思っても、IT人材が不足している会社ではスムーズに導入することができません。

また人材は揃っているものの、通常の業務に追われていてITコスト削減に関する業務に時間を割けないというケースもあります。

IT人材が不足している会社向けに対策を3つ紹介します。

 

メリット

デメリット

外注

リソース不足をすぐ解消できる

ノウハウが自社に溜まりにくい

採用

ノウハウが蓄積される

企業の成長につながる

採用コスト・教育コストが大きい

既存のスタッフを教育

社員のキャリアアップにも

つながる

外注よりは時間がかかる

【対策①】外注する

IT人材が不足している会社にとって、外注は非常に有効な手段です。

「ITコスト削減のためにあるサービスを導入したいが、最適な人材が社内にいない」という場合はコンサルティング会社などへの外注を検討しましょう。

また外注の場合は数ヶ月単位という短期間での依頼も可能な場合が多く、スポットでの活用も可能

ITコストの削減に力を入れている時期は運用変更などに伴って業務量が増えるため、スポットで外注を活用するのも良いでしょう。

各社員の業務が逼迫している場合や、人件費が高くなっている場合は外注でコストダウンできる場合もあるため、検討するのはいかがでしょうか。

【対策②】採用して人を増やす

しっかりと採用ができれば、IT人材の不足は解消できます。外注とは異なり、社内にノウハウが蓄積されていくのも大きなメリット。また採用を行うことで多様性が生まれ、企業の成長にも繋がるといったメリットもあります。

ただ、新卒採用の場合は戦力になるまでに時間がかかり、中途採用の場合は採用にかかるコストが高いという点に注意が必要です。

【対策③】既存のスタッフを教育する

新たに採用するのではなく、既存のスタッフに対して教育を施すのも有効な対策です。

既存スタッフの教育は内製化において、新たな採用よりも即効性があり、スタッフの立場から考えてもキャリアアップに繋がるため、取り組みやすい施策と言えます。

スタッフ一人一人の能力を高め、生産性を向上させることは根本的な解決策と言えるでしょう。

ITコスト削減事例

ここまでITコストの内訳や削減方法、そして難しさと対策などについて紹介してきました。

最後にITコストの削減に成功した事例を「課題」「ソリューション」「結果」という3つのポイントに分けて紹介していきます。

自社の課題と近いものがあればぜひ参考にしてみてください。

日本電気株式会社(NEC)

1つ目は情報通信機器の製造・販売などを行う、日本電気株式会社の事例です。

課題

抱えていたのは調達に関する課題です。

調達時の判断が属人化しており、部門によって調達プロセス・ルールもバラバラ。調達後にも全社で情報共有がなされていないといった課題があり、ITコスト増大を招いていました。

施策

まず、属人化していてルールが曖昧になっていた調達のプロセスを、異なる部門が協働する形で策定。

さらに調達時の負荷を抑えるためのツールを導入し、業務効率化も図りました。調達後の課題となっていた情報共有において、データ化を実行。

満足度や価格情報といったデータを集め、情報資産を蓄積できる仕組みを構築しました。
これらの取り組みにより、調達前後のプロセスや情報共有についての課題が解決されていきました。

結果

調達のプロセスが明確になり、データも蓄積できたことで、調達のPDCAサイクルを回して改善することが可能になりました。

過去のデータを用いて調達を行うことで、積極的なコスト削減が推進されています。またユーザビリティを重視したツールを導入したことで定着も速やかになり、間接的なコストの増大も抑えられた結果となりました。

参照元:日本電気株式会社(NEC)

株式会社パルコ

2つ目は商業施設の開発などを行う、株式会社パルコでの事例です。

課題

約15年にわたって使われてきたテナント管理業務のためのシステムが老朽化。

法律や運用などに対して改修で対応してきたものの、定期借家契約に関する法律の変更もあり、非常に厳密な契約管理が必要になりました。

このように老朽化が進んだシステムの再構築と、収益向上に向けた業務効率化の推進が大きな課題となっていた事例です。

施策

解決策として、アビーム不動産ソリューション(ACRES)を導入。

外部システムであるPOSシステムなどと連携した、新たなシステムを構築しました。このシステムに合わせ、テナント管理の業務プロセスも刷新。不動産業界における豊富なノウハウを活用し、システムと業務プロセスの刷新を実行しました。

結果

クラウド型の新システムを構築したことで、更新の手間やメインフレームが不要に。その分のコスト削減が実現しました。

新システムでは稟議情報や契約情報、賃料計算を一元管理できるようになり、定期借家契約で求められるより厳密な契約管理も実現しています。

さらに、システムによる自動化を推進したことで入力ミスが減るとともに、現場スタッフの労働環境も大きく改善される結果となりました。

参照元:株式会社パルコ

オリンパス株式会社

3つ目は精密機械の製造・販売を行う、オリンパス株式会社の事例です。

課題

グローバルでの事業拡大に伴い、ITに対する投資の評価が適切にできなくなり、結果としてITコストが増大していました。

理想としていたのは、ITコストを適切に可視化・評価し、本来投資するべきところに予算を割り振ること。これを実現するためのプロセスを構築することが大きな課題となっていました。

施策

課題解決に向け、すでに発生しているITコストの分析や投資の評価フレームワークの構築を実施。この取り組みを国内から始め、海外へと展開していきました。

特に大きな取り組みとなったIT投資ポートフォリオ評価フレームワークでは投資タイプ別に評価基準を定義し、各投資案件を点数化。数値に基づいた意思決定を目指したシステムを構築しました。

結果

国内外問わず、システムに基づいた意思決定を行うようになり、ITコストのコントロールが実現。

さらにIT投資ポートフォリオ評価フレームワークを構築したことで、論点が明確になり、よりスムーズな意思決定がなされるようになりました。

ITコストの削減と、積極的な投資の両立が実現でき、事業拡大をより推進できる基盤が構築できた事例です。

参照元:オリンパス株式会社

自社にあった方法でITコスト削減を目指しましょう

ITコストの削減は収益拡大に大きく貢献する一方、決して簡単な取り組みではありません。

時間もコストもかかり、普段の業務への影響もあります。

今回の記事で紹介したITコストの削減方法や対策などを参考にし、入念なシミュレーションの上で取り組んでいきましょう。