暗号化とは?仕組みや方法、おすすめの暗号化ツールも紹介

暗号化とは?仕組みや方法、おすすめの暗号化ツールも紹介

機密情報の漏洩を防ぐために重要な暗号化。重要性は理解していても、具体的な手順やメリットのイメージができない方も多いかと思います。

この記事では仕組みや手順、おすすめのソフトなどをまとめて解説。暗号化の要点が一気にわかる内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。

目次
  1. 1. 暗号化とは?
    1. 1-1. 暗号化と復号化の仕組み
    2. 1-2. ハッシュ化と暗号化の違い
  2. 2. 3種類の暗号化方式
    1. 2-1. 共通鍵暗号方式
    2. 2-2. 公開鍵暗号方式
    3. 2-3. ハイブリッド暗号方式
  3. 3. 暗号化するメリット
    1. 3-1. セキュリティ対策ができる
    2. 3-2. データの持ち出しを管理できる
  4. 4. 暗号化のデメリット
    1. 4-1. 暗号化に時間がかかる
    2. 4-2. データを復号できない可能性がある
    3. 4-3. PCに負荷がかかる
  5. 5. データやファイルを暗号化する方法
    1. 5-1. 暗号化ソフトを使用する
    2. 5-2. クラウドサービスを使用する
  6. 6. 暗号化ソフトおすすめ3選
    1. 6-1. DataClasys
    2. 6-2. セキュリティ・ウェアハウス
    3. 6-3. Renee File Protector
  7. 7. セキュリティ性を高める暗号化のポイント
    1. 7-1. 通信経路の暗号化
    2. 7-2. 安全性の高いアルゴリズムの選定
    3. 7-3. 定期的なセキュリティチェック
  8. 8. 暗号化の仕組みや方法について紹介しました

暗号化とは?

暗号化とは、元となるデータを違う文字列のデータに変換し、解読できない状態へと加工すること

データの内容を第三者に解読されないようにする、セキュリティ対策の一つです。

具体例としては、メールやwebページの送受信データなどに使用されています。

そして、一度暗号化したデータを元のデータに戻すのが「復号」という操作

「暗号化」と「復号」をセットで使うことにより、第三者が解読できない安全な状態での情報伝達が行えます。

暗号化と復号化の仕組み

では暗号化と復合化はどのような仕組みになっているのでしょうか。

それぞれの仕組みは以下のようになっています。

  • 暗号化→元のデータを「暗号鍵」と呼ばれるデータを使用し、全く違うデータへと変換する
  • 復号→暗号化されたデータを、再び「暗号鍵」を使用して元のデータへと戻す

これが暗号化・復号の大まかな仕組み。

この仕組みからもわかるように、暗号鍵が非常に重要な役割を果たします。

もし、この暗号鍵が第三者の手にわたってしまうと、暗号化したデータを復合され、読まれてしまうことになるため、暗号鍵は厳重に管理しなければなりません。

ハッシュ化と暗号化の違い

暗号化と近しい技術とも言えるのが、ハッシュ化という技術です。

復合により、元のデータに戻すことを前提としている暗号化に対し、ハッシュ化は元のデータに復号できない形に加工する技術

そのため、パスワードなど、相手への受け渡しが発生しない情報などに対して用いられます。

サーバーに保存したパスワードなどをハッシュ化しておけば、漏洩したとしても第三者に解読されることはありません。

暗号化・ハッシュ化はともに、情報を守るために、別データへと加工する技術です。

しかし、元データを復合できるか、という点に違いがあり、使用用途は全く変わります。

3種類の暗号化方式

暗号化には3つの方式があり、それぞれ以下の表のようにメリット・デメリットが存在します。

 

メリット

デメリット

共通鍵暗号方式

・PCへの負荷が軽い

・暗号化と復合化の処理速度が速い

・鍵の管理が大変

・鍵の盗難リスクがある

公開鍵暗号方式

・盗難のリスクが低く、安全性が高い

・暗号化と復号化の処理に時間がかかる

ハイブリッド暗号方式

・安全性と速度を両立できる

-

メリット・デメリットだけではどの方式が自社に合っているかわからないと思いますので、各方式について詳しく解説していきます。

共通鍵暗号方式

一つ目の方式が、共通鍵暗号方式。

名称に「共通鍵」という単語が入っている通り、暗号化と復号の際に共通の鍵を使用します。

具体的な流れは以下の通り。

  1. (送信者)共通鍵を用い、暗号化
  2. (送信者)共通鍵と、暗号化したデータを共有
  3. (受信者)共通鍵を用い、復号する

パスワードのかかっている圧縮ファイルと、パスワードが送られてきた経験はありませんか?

この時のパスワードが共通鍵に該当します。

PCへの負荷が軽く、処理速度も速いというメリットがある一方、鍵の管理が大変で、盗難リスクもあるのが共通鍵暗号方式の特徴です。

鍵の管理を考えると、少人数かつ、安全にやりとりできる環境下である場合に使うべき方式であるといえます。

公開鍵暗号方式

二つ目の方式が、公開鍵暗号方式。

共通鍵暗号方式とは異なり、暗号化と復号の際に異なる鍵を使用します。

具体的な流れは以下の通り。

  1. (受信者)公開鍵と秘密鍵を作成
  2. (受信者)公開鍵のみを共有
  3. (送信者)公開鍵を用い、暗号化
  4. (送信者)暗号化したデータを共有
  5. (受信者)秘密鍵を用い、復号する

最大の特徴は、公開鍵で暗号化したデータは受信者ごとに作られる秘密鍵でしか復号できないということ。

公開鍵は一つのみで、受信者ごとに異なる秘密鍵が作られる形になります。暗号化に使う鍵と復号に使う鍵が別々になるため、暗号化する際の公開鍵は漏洩しても問題ありません。

受信者が秘密鍵を漏洩してしまわない限り、第三者がデータを復号することはできないことになり
ます。

公開鍵を複数人に共有できることで管理が容易になる上に、鍵盗難のリスクがなく、安全性が高いという点でも優れています。

一方、暗号化と復号の処理に時間がかかるというのが大きなデメリットです。

大人数とのやりとりの場合は、管理が容易な公開鍵暗号方式が有効になります。

ハイブリッド暗号方式

三つ目の方式が、ハイブリッド暗号方式です。

読んで字の如く、共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式を組み合わせた方式で、具体的な流れは以下の
通り。

  1. (受信者)公開鍵と秘密鍵を作成
  2. (受信者)公開鍵を共有
  3. (送信者)共通鍵を作成
  4. (送信者)受け取った公開鍵で共通鍵を暗号化
  5. (送信者)暗号化した共通鍵を共有
  6. (受信者)受け取った共通鍵を秘密鍵を用い、復号

共通鍵を公開鍵方式で共有することにより、共通鍵暗号方式よりも安全で、公開鍵暗号方式よりも速い処理を実現しています。

暗号化するメリット

暗号化の概要や方式について紹介してきましたが、そもそも暗号化することによってどのようなメリットがあるのでしょうか?

重要な2つのメリットについて解説していきます。

セキュリティ対策ができる

一つ目のメリットは、セキュリティ対策ができるということ。

情報漏洩を避けるという意味でも暗号化は非常に重要で、セキュリティ強化に繋がります

暗号化をしておけば、万が一情報が漏洩した場合でも解読されにくく、悪用されにくくなるでしょう。パソコンの盗難・紛失や、不正アクセスなど、情報流出に繋がりうる事象は様々なので、万が一に備えた暗号化は非常に重要になります。

データの持ち出しを管理できる

もう一つのメリットは、データの持ち出しを管理できるということです。

暗号化の際に使用することの多い暗号化ソフトには、様々な機能があります。

暗号化していないデータの持ち出しを制限するような暗号化ソフトも誕生しており、重要情報を含んだデータの持ち出しを管理することも可能

データが流出した際に遠隔で削除できる機能を持ったソフトもあります。

不必要に重要なデータを持ち出さなくなるのは、安心ですよね。

このように、暗号化ソフトを利用することで、暗号化以外のセキュリティを高められるという利点もあります。

暗号化のデメリット

セキュリティやデータ管理において重要な暗号化ですが、メリットばかりではありません。

デメリットを3つに分けて解説していきますので、ぜひ暗号化するかどうかの判断の際に考慮してみてください。

暗号化に時間がかかる

一つ目は、暗号化に時間がかかるというデメリットです。

容量の大きいハードディスクを暗号化する場合、数時間かかる場合もあります。

時間がかかることで利用者の心理的なストレスにも繋がりやすいため、その点をしっかりと考慮するようにしましょう。

データを復号できない可能性がある

二つ目は、データを復号できない可能性があるというデメリットです。

復号に必要な鍵を無くしてしまうと、データを復号することはかなり難しくなります。

重要なデータを閲覧できなくなるのは大きな問題に繋がるため、鍵の管理は厳重に行ってください。

PCに負荷がかかる

三つ目は、PCに負荷がかかるというデメリットです。

暗号化の範囲が広がれば広がるほど処理も増え、PCのパフォーマンス低下につながります。

処理速度に長けた暗号化ツールも存在するため、ツール選定の際は処理速度も含めて自社にあったものを選ぶようにしましょう。

データやファイルを暗号化する方法

続いて、データやファイルを暗号化する具体的な方法について解説していきます。

大きくわけて2つの方法がありますので、自社の状況に合わせて選んでみてください。

暗号化ソフトを使用する

一つ目は暗号化ソフトを使用するやり方です。暗号化ソフトを使用することで、簡単にデータやファイルを暗号化できます。方式や暗号化できる対象はソフトによって様々。

ファイル単位で暗号化するソフトや、ハードディスク・データベース単位で暗号化するソフトまで、多岐に渡ります。機能も金額もソフトごとに全く違うため、自社のニーズを検討しながら最適なものを導入するようにしましょう。

クラウドサービスを使用する

二つ目はクラウドサービスを使用するやり方です。暗号化に対応したクラウドサービスの代表例にはGoogleドライブやOffice365といったサービスがあります。クラウドサービス上に保存するだけで自動で暗号化されるため、非常に便利です。

しかし、全てのクラウドサービスが暗号化に対応しているわけではなく、暗号化に対応していても機能はまちまち。重要なデータをクラウドサービスに保存する際は必ず暗号化に関する機能を確認するようにしましょう。

また、セキュリティが強固なクラウドサービスを使用していても、100%安全というわけではありません。誤ってアクセスできる権限を付与してしまったり、ログイン情報が漏洩してしまうと機密情報にアクセスされてしまいます。これらの点にも注意が必要です。

暗号化ソフトおすすめ3選

暗号化ソフトを利用しようと思っても、ソフトが多く、どれを選べばいいかわからないですよね。

おすすめの3つのソフトの特徴や費用についてまとめて紹介していきます。

 

特徴

費用

DataClasys

・1000社以上の導入実績 

・純国産ならではの充実したサポート 

・他製品との幅広い連携が可能

要問い合わせ

セキュリティ・

ウェアハウス

・わかりやすい操作画面 

・インストール後すぐに利用できる 

・ライセンス数が多くなるほど割引あり

4,900円〜

Renee File Protector

・500,000以上のユーザー実績

 ・暗号化が幅広い範囲で可能

 ・無料版でも暗号化するファイル数に制限なし

2,980円〜

DataClasys

おすすめポイント

  • 官公庁・自治体含む1000社以上の導入実績 
  • 純国産ならではの充実したサポート
  • 他製品との幅広い連携が可能

DataClasys」は株式会社データクレシスが提供する、暗号化ソフトです。「全ての情報、利便性を落とさず、漏洩の根本対策を」というキャッチコピーを掲げ、ファイル暗号化のソフトを提供。官公庁や自治体を含め、1,000社以上の導入実績を誇っています。

100%自社開発のアプリケーションとなっているため、運用に関するサポートも充実。操作方法などの基本的な内容に加え、DataClasysによって発生した事象に関しても質問ができます。

運用に関する保守契約を結ぶことも可能で、保守まで丸投げできるのも嬉しいポイントです。

他製品との幅広い連携も大きな特徴。クラウドストレージのBOXや、個人情報対策のP.Pointerなどと連携しており、最小限の工数で様々なサービスを導入できます。

セキュリティ・ウェアハウス

おすすめポイント

  • わかりやすい操作画面
  • インストール後すぐに利用できる
  • ライセンス数が多くなるほど割引あり

セキュリティ・ウェアハウス」は、株式会社スカイネクサスが提供する、暗号化ソフトです。
安全と使いやすさのバランスをコンセプトに生まれた暗号化ソフトとなっており、わかりやすい操作性が特徴。Windowsの標準ファイル管理ソフトである「エクスプローラー」と似た操作性となっています。

インストール後、すぐに利用できるのも嬉しいポイント。暗号化したいファイルの格納先フォルダを登録するだけで、すぐに使えます。事前の作業も必要なく、知識のない方でも手軽に導入可能です。

法人契約の場合、1ライセンスにつき4,900円となっています。ライセンス数に応じた割引も用意されており、500ライセンス以上の一括購入をすると6割引で導入可能。多くのライセンスが必要になる会社には特におすすめです。

Renee File Protector

おすすめポイント

  • 500,000以上のユーザー実績
  • 暗号化が幅広い範囲で可能
  • 無料版でも暗号化するファイル数に制限なし

Renee File Protector」は有限会社レ二ーラボラトリソフトウェアが提供する、暗号化ソフトです。中国の本社を構える、グローバル企業が運営しています。導入実績は50万人以上。キャノンやヒューレット・パッカードといった大企業も導入しています。

ファイルしか暗号化できないソフトもある中、ディスクやフォルダの暗号化にも対応。USBの暗号化にも対応しているため、電子機器を持ち運ぶ際の情報漏洩リスクも軽減できます。

無料版も用意されているため、初めて暗号化ソフトを触るという方は無料版の利用をおすすめします。無料版であっても暗号化できるファイル数に制限はありません。処理の高速化やデータの削除にも対応しているため、一度試してみてはいかがでしょうか。

セキュリティ性を高める暗号化のポイント

データを暗号化する際、いくつかのポイントを押さえることでセキュリティをさらに高めることができます。

3つのポイントについて解説していきますので、ぜひ意識してみてください。

通信経路の暗号化

一つ目のポイントは通信経路の暗号化です。ここまで、ファイルなどを暗号化する方法などを説明してきましたが、セキュリティ性を高めるためには、通信経路の暗号化も重要になります。通信経路も暗号化することにより、第三者による傍受・改ざんの難易度が格段に上がるためです。

ファイルやデータを暗号化する際、やりとりをする際の通信経路も同時に暗号化するようにしま
しょう。

SSLという暗号化の仕組みがその一例。URLの先頭が「http」ではなく「https」となっているウェブサイトはSSL化済みのサイトです。近年は、ほとんどのウェブサイトがSSL化に対応しているため、必ず対応するようにしましょう。

安全性の高いアルゴリズムの選定

二つ目のポイントは安全性の高いアルゴリズムの選定です。

暗号アルゴリズムとは、暗号化処理の手順や規則のこと。現在使用されている暗号化の方法では、このアルゴリズムを隠すことはできません。そのため、単純なアルゴリズムでは解読されやすくなってしまいます。

どの暗号アルゴリズムを取り入れるかによって、暗号強度(暗号の解読されやすさ)に大きな影響を及ぼすため、注意が必要です。安全性の高いアルゴリズムの代表例はElGamalやRSA、AESなどがありますので、安全性の高いものを選ぶようにしましょう。

定期的なセキュリティチェック

三つ目のポイントは定期的なセキュリティチェックです。

暗号化をしたからといって安全性が確実に保証されるわけではなく、継続的にセキュリティチェックを行う必要があります。暗号鍵が漏洩すれば暗号化は意味をなさないため、暗号鍵の管理は特に徹底しましょう。

具体的な方法としては、

  • セキュリティツールを最新の状態にする
  • 使用している端末に多要素認証を導入する

といったものがあります。

脆弱性を診断するサービスなどもあるため、外部の調査会社に依頼してセキュリティの状況を可視化するのも良いのではないでしょうか。

暗号化の仕組みや方法について紹介しました

暗号化は会社のデータを守る、非常に重要な仕組みである一方、様々な方式があり、複雑に見える仕組みでもあります。

特に、暗号化対策に取り組んだことがない方は手順やデメリットのイメージも湧かないかと思い
ます。

今回の記事で紹介した暗号化のメリット・デメリットやおすすめのソフトなどを参考に、ぜひ取り組んでみてください。