印刷機とコピー機の違いについて解説!特徴やコスト面も徹底比較
印刷機やコピー機は企業にとって必要不可欠ですが、導入にあたって大きなコストがかかるのが現実です。
本記事では、印刷機とコピー機どちらを導入すべきかお悩みの方向けに、印刷機とコピー機の違いや向いているシーン、コスト面について徹底解説します。
印刷機とコピー機の違いとは?
印刷機とコピー機は、そもそもの内部構造が異なります。決定的な違いは、印刷時に「版(マスター)」を使うかどうかです。印刷機では、原稿を元とした「版」にインクをつけてローラーで紙に転写するため、輪転機と呼ばれることもあります。
一方コピー機の場合、原稿をスキャンし、その内容にあわせてトナー(色付けを行う粒子の粉)を付着させて転写を行います。転写時にヒーターに熱圧力をかけるため、紙が温まるのが特徴です。
【比較表】印刷機とコピー機の特徴
印刷機とコピー機の違いを明確にするためにも、まずは比較表をご覧ください。
印刷機 |
コピー機 |
|
印刷スピード |
速い (1分間に100枚以上) |
印刷機よりも遅め (1分間で20〜30枚程度) |
カラー性能 |
カラー印刷が 荒くなりやすい |
フルカラーでも綺麗 |
印刷可能枚数 |
100万枚以上 |
10万枚程度 |
機器サイズ |
大きめ (1m以上の幅が必要) |
コンパクト (70cm程度の幅に収まる) |
機能性 |
大量印刷に特化 |
FAX、スキャン、プリント、 スマホ連携など多機能 |
印刷中の騒音 |
音が大きめ |
静か |
印刷機の特徴
印刷機のメリットやデメリット、向いているシーンをお伝えします。
印刷機のメリット
印刷機のメリットとして次があげられます。
印刷機の最大の魅力は、印刷スピードの速さです。たとえば、同一原稿を1,000枚印刷する場合、コピー機が40分かかるところ印刷機なら8分程度で済みます。
印刷機は「大量印刷」に特化しているため耐久性が高く、100万枚以上の印刷が可能です。
また、消耗品コストが安いのも魅力。コピー機の場合、色が枯渇するたびにトナーカートリッジを交換する必要があります。故障防止のために純正のカードリッジを導入するとなれば、1回の交換で5〜6万円程度のコストがかかります。トナーの使用期限は2〜3年が目安です。ローラーの交換も必要となれば、さらに出費はかさむでしょう。
その点印刷機は基本、インク代と版(マスター)代のみ。1回の交換あたり1万円程度で済む場合がほとんどです(文字のかすれ、色ムラが増えてきたら交換)。また、コピー機と比べて1枚あたりの印刷コストも安くなります。(コストの詳細や比較ついては後述)
印刷機のデメリット
印刷機のデメリットとして以下があげられます。
印刷機のデメリットは、内部構造上カラー印刷が荒くなりやすいこと。同一原稿のカラー印刷であれば問題ありませんが、複数原稿をカラー印刷する場合はクオリティが落ちてしまいます。
また「大量印刷」に特化しているため、ほとんどの場合、他の機能は付いていません。コピー機のようなFAXやスキャン機能などは付帯していないので、使いにくさを感じることもあるでしょう。
印刷機は、ある程度の設置スペースも必要です。コピー機が70cm程度に対して、印刷機は最低でも1m程度の幅を要します。
印刷機が向いているシーン
印刷機が向いているシーンは以下の通りです。
- 文字だけのモノクロ印刷を大量にしたい場合
- 画質にこだわらないカラー印刷をする場合(広報誌やチラシなど)
印刷機は「モノクロ」かつ「大量印刷」の場合にパフォーマンスを発揮します。カラー印刷の場合でも、1枚1枚の解像度にこだわらない場合はおすすめです。
コピー機(複合機)の特徴
続いて、コピー機のメリットとデメリット、向いているシーンをご紹介します。
コピー機のメリット
まずは、コピー機のメリットを見てみましょう。
コピー機の大きなメリットは、カラー印刷のクオリティが高いことです。テキストのみならず、カラーの写真やイラストなどの印刷も問題なくできます。
コピー機のカラー印刷には、「フルカラー」と「モノカラー」の2つがあります。フルカラーはブラック、マゼンタ、イエロー、シアンの4種類を使った手法。一方のモノカラーはマゼンタ、イエロー、シアンのうち2種類を使った手法です。モノクロよりも見栄えがよい上に、フルカラーよりもコストが安くなります。
「印刷」以外の機能が充実しているのもコピー機の魅力です。主な機能としてFAX、プリント、データのスキャンがあげられます。最近ではスマホアプリから直接印刷ができる機種や、ユーザー認証機能が付帯している機種もあります。
機器によりますが、コピー機は70cm程度とコンパクトです。印刷機と比べてスペースを取らないため、オフィスの設置スペースに限りがある場合にもおすすめできます。
コピー機のデメリット
続いて、コピー機のデメリットをご紹介します。
コピー機は、印刷機に比べて印刷スピードが遅めです。1分間に100枚以上の印刷機に対して、コピー機は20〜30枚程度と少なめ。大量印刷には不向きといえます。
また、印刷機と比べて印刷可能枚数も少ないです。印刷機の100万枚に対して、コピー機は10万枚を超えると故障しやすくなります。「長く使う」という点では印刷機の方が優れています。
コピー機が向いているシーン
コピー機が向いているシーンとして以下があげられます。
- 写真やイラストなどカラーを多用した印刷
- 複数原稿かつ部数の多くない印刷
コピー機はカラー印刷に強いため、写真やイラストなどカラーを多用した印刷に向いています。社内や取引先への重要資料やPR商材などにおすすめです。
印刷機のような同一原稿の大量印刷には不向きですが、部数が多くないかつ複数原稿を印刷する場合は、コピー機に軍配が上がります。
印刷機とコピー機のコスト面を比較
印刷機とコピー機では、どちらが安上がりなのか気になる方もいらっしゃるかと思います。ここでは、印刷機とコピー機の「コスト面」を比較し、結局どちらがおすすめなのかお伝えします。
印刷機(輪転機) |
コピー機(複合機) |
|
印刷単価 |
実質0.1〜0.2円/1枚 |
3〜4円程度/1枚 |
カウンター料金 |
不要 |
必要(契約内容による) |
消耗品コスト |
1回1万円程度 基本インクとマスターの 交換費用のみ |
トナーやローラーなどの 交換&出張費用で5〜6万円程度 |
本体価格 |
100万円以上 (月15,000〜25,000円程度) |
50〜70万円 (月10,000〜20,000円程度) |
1. ランニングコストは「印刷機」に軍配
ランニングコストでは「印刷機」に軍配が上がります。
印刷機の実質的な印刷単価は「0.1〜0.2円」と破格です。印刷枚数が増えるほど単価は安くなります。同じくコピー機も枚数に応じて安くなりますが、印刷機の場合は「大量印刷」ができるため、印刷単価を大きく下げられるのです。
また印刷機の場合、1枚印刷するごとに発生する「カウンター料金」も必要ありません。先述したように、印刷機は消耗品コストも安いです。基本的にインクとマスター(版)の交換だけで済みます。
2. 本体価格は「コピー機」に軍配
本体価格で比べた場合、「コピー機」に軍配が上がります。
機種によって本体価格に差はありますが、新品で比べるとコピー機は50〜70万円程度で購入できます。一方の印刷機は100万円以上になる場合がほとんどです。
ただし、印刷機やコピー機を買い切りで使うケースは珍しく、多くは「リース」となります。自社で業務用機器のメンテナンスを行うのは大きな労力と費用がかかるため、メーカーサポート付きのリース契約にする場合が多いためです。
リース利用の場合は月額いくらで請求され、こちらも本体価格に比例してコピー機の方がやや安めです。
3. 企業利用なら「コピー機」がおすすめ
大量印刷できる上にランニングコストの安い印刷機は魅力的です。しかし、企業利用なら「コピー機」をおすすめします。
企業の場合、写真入りの資料やフライヤー、取引先に提出する見積書や請求書など、重要な書類を作成する場面が多いでしょう。そういった際、やはり「カラー印刷」は外せないポイントといえます。そのほかFAXやプリントなどオフィス利用に役立つ機能があると便利です。
もちろん、企業の目的によっては印刷機が便利な場合もあります。ただし、カラー印刷に強い、機能性に富んでいるといった点を考慮すると、トータルバランスで「コピー機」がおすすめといえます。
【まとめ】目的にあわせて印刷機・コピー機を選ぼう
一見同じように見える印刷機とコピー機ですが、実は似て非なるものです。大量印刷や印刷可能枚数、ランニングコストで見るなら印刷機、カラー印刷や印刷以外の機能、本体価格で見るならコピー機がおすすめです。
しかし、どちらが向いているかは企業によって異なるので、自社の目的や予算にあわせて最適な機器を選びましょう。