ペーパーレス化とは?メリット・デメリットやおすすめのツールを解説

"ペーパーレス化とは?メリット・デメリットやおすすめのツールを解説	"

ペーパーレス化は政府が推進する取り組みの1つです。

しかし、実際にどう取り組めばいいのか、メリット・デメリットがわからない方も多いでしょう。本記事を最後まで読むことで、ペーパーレス化の取り組み方やおすすめのツールなどがわかるようになります。ぜひご活用ください。

目次
  1. 1. ペーパーレス化とは
  2. 2. ペーパーレス化のメリット
    1. 2-1. 業務効率化・コスト削減
    2. 2-2. 内部統制・セキュリティ機能の強化
    3. 2-3. リモートワークの推進
  3. 3. ペーパーレス化のデメリット
    1. 3-1. 紙と比べて一覧性や視認性に劣る
    2. 3-2. 従業員にITスキルが求められる
    3. 3-3. ネットワーク環境の影響を受けやすい
  4. 4. ペーパーレス化をスムーズに進める手順
    1. 4-1. ペーパーレス化の目的を設定する
    2. 4-2. 対象とする文書や業務を定義する
    3. 4-3. ツールやシステムを選定する
    4. 4-4. ペーパーレス化の効果を測定する
  5. 5. ペーパーレス化に役立つツール
    1. 5-1. 文書管理システム
    2. 5-2. オンラインストレージ
    3. 5-3. 勤怠管理システム
    4. 5-4. ワークフローシステム
    5. 5-5. 電子契約システム
  6. 6. ペーパーレス化に成功した自治体・企業の具体的事例
    1. 6-1. 長野県長野市
    2. 6-2. 青森県弘前市
    3. 6-3. コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社
  7. 7. ペーパーレス化のメリット・デメリットやスムーズに進める手順を説明しました

ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは、紙で保管されていた資料や記録をデジタルデータとして保存をすること。ペーパーレス化によって、紙媒体を保管するスペースや資料を探す手間を大幅に削減できます。

2017年1月には「電子帳簿保存法」の改正により、レシートや領収書などの経理資料の電子保存が認められました。さらに、原則7年間の原本保存も撤廃されたため、デジタルデータのみで運用可能となっています。

このように、政府の政策レベルでリモートワークをしやすい環境は整いつつあります。近年では、リモートワーク導入の第一歩としてペーパーレス化を推進する企業も増えてきており、導入メリットが認知されてきているのがわかります。

ペーパーレス化のメリット

ペーパーレス化のメリット

業務効率化・コスト削減

ペーパーレス化は資料のアクセスが容易になるだけでなく、複数人での情報共有にも有効。たとえば、顧客からの見積書を探したい場合は、サーバーから検索するだけですぐに目当てのファイルを見つけ出せるでしょう。

また、印刷する紙やインクもほとんど使わなくなるため、印刷コストを大幅に削減できるメリットがあります。

印刷する機会が減少すれば、プリンター本体の台数も削減できるでしょう。大きな会社では、複数のプリンターを運用していることも珍しくありません。そのため、プリンター本体の購入代金やリース料が節約できれば大きなコスト削減効果が期待できます。

内部統制・セキュリティ機能の強化

セキュリティ面でのメリットも見逃せません。紙媒体の場合は、重要な書類は、鍵付きのキャビネットで保管する方法がとられます。

デジタルデータならアクセス権限と閲覧権限を設定可能できるため、悪意のある人物が盗み見たり、持ち出されるリスクを軽減できます。

また、誰が閲覧をしたのか履歴に残せるのも紙媒体とは異なる点です。万が一、何者かによって、データが改ざんされた場合、アクセス履歴をたどれば不審者を特定する手がかりになるからです。

リモートワークの推進

あらゆる書類をデジタル化しクラウドや自社のサーバーに保存をすれば、従業員が場所を問わず必要な書類にアクセスできるようになります

せっかくリモートワークを導入しても、一部の業務のために出社を余儀なくされるのは非効率。たとえば、リモートワークを導入しても稟議書がペーパーレス化されていないばかりに、稟議のハンコを押すためだけに出社しなくてはいけないケースがあります。

ペーパーレス化はテレワークの導入に必要不可欠な社内インフラの1つといっても過言ではないでしょう。

ペーパーレス化のデメリット

ペーパーレス化のデメリット

紙と比べて一覧性や視認性に劣る

ペーパーレス化をすると「場所をとらない」「持ち運ぶ必要がない」というメリットがある一方で、一覧性や視認性に難があるというデメリットもあります。

たとえば、2つの資料を見比べたい場合、タブレットやパソコンは不便です。大きなディスプレイなら画面を分割して見比べることもできますが、タブレットやスマートフォンでは難しいでしょう。

ほかにも、画質が荒くて見にくい場合、拡大してしまうと全体を把握するのが難しくなります。

従業員にITスキルが求められる

デジタルデータを扱うからには、従業員には相応のITスキルが求められます。具体的にはファイル管理システムの使い方や、PDFファイル閲覧、ドキュメント編集の方法を知っている必要があります。管理者になれば閲覧・編集権限の設定もする必要があるでしょう。

若い人であればある程度「勘」が働きますが、年配の従業員では難しいケースも出てきます。対策としては、講習やセミナーで、従業員のITリテラシーを高めることをおすすめします。

ネットワーク環境の影響を受けやすい

ペーパーレス化は、クラウドやサーバーにデータを保存して編集・閲覧するという仕組み上、インターネットがないと機能しません。また、クラウドやサーバーに障害が発生してしまっても、データにアクセスできなくなります。

とくに、サイバー攻撃を受けたり、手違いでデータを削除してしまったりした場合、重要なファイルの復旧は簡単ではありません。そのため、日ごろから障害やトラブルが発生した場合の対策も練っておいたほうがよいでしょう。対策方法としては、定期的なファイルのバックアップなどがおすすめです。

ペーパーレス化をスムーズに進める手順

ペーパーレス化をスムーズに進める手順

ペーパーレス化の目的を設定する

まず、ペーパーレス化によって何を実現したいのか、目的を設定しましょう。以下に例を挙げます。

  • リモートワークを促進し、従業員の生産性を高める
  • 経費を削減し利益率を向上させる
  • 無駄な業務プロセスを見直し、業務を効率化させる

また目的を設定したら、目的を達成するために以下のように目標を具体化することが重要です。

  • 90%以上が終日リモートワークを最低限月1回実施できる状態にする
  • 紙媒体の資料にかかわる経費を70%削減する
  • 書類管理にかかる時間を50%削減する

ペーパーレス化の目的・目標が明確になれば、運用方法で悩む心配もなくなります。また、ペーパーレス化を推進する上で経営層や社員に説明する際にも、明確な目的と目標を打ち出すことができれば導入がスムーズになるでしょう。

対象とする文書や業務を定義する

具体的にどの書類をペーパーレスにするのかを検討しておきます。検討する際には、書類を用途に応じて分類しておくと便利。分類することで使用目的や利用する部署に応じたルールを策定しやすくなります。

また分類した書類ごとにペーパーレス運用を統一すれば、似たような運用の書類なのに一方は紙媒体、もう一方はデジタルデータになっていることを避けられるでしょう。

ツールやシステムを選定する

ペーパーレス化を効率的に運用するためには、専用のツールやシステムを導入するのがおすすめ。ツールの選定方法としては、導入費用や運用費用も大事ですが、従業員が使いやすいかどうかも十分に検討しておきましょう。

ツールやシステムによっては「いろいろなことができて便利そう」でも、実際に導入したら複雑でわかりにくいことがよくあります。そうならないために、運用方針を明確にしておき、必要最低限のツールを選ぶようにしましょう。ペーパーレス化に活用できるツールは下の「ペーパーレス化に役立つツール」で紹介しているので合わせてご覧ください。

ペーパーレス化の効果を測定する

ペーパーレス化の導入が始まったら効果測定をしていきます。効果測定をすることで、ペーパーレス化の導入がうまく進んでいるのかを確認し、期待した効果が出ていない場合は対策が打てるためです。効果測定には、業務がどのように効率化されたのか、数値化するのがおすすめ。

  • 印刷コストが60%削減された
  • 稟議承認が申請から承認まで3日短縮された
  • 顧客への提案スピードが1日になった

また、はじめはペーパーレス化による弊害やトラブルがつきもの。課題はどこにあるのかを把握し、ペーパーレス化の効果を最大化していくように改善を繰り返していきましょう。場合によっては業務プロセスを再度変更する必要もあるかもしれません。現場とコミュニケーションを取りながら柔軟に対応することが重要です。

ペーパーレス化に役立つツール

ツール

解決できること

費用

文書管理システム

紙書類のデジタル化と管理

月額1000円前後~

オンラインストレージ

デジタル化したデータや

ファイルの保存

月額数百円 / 1ユーザー~

勤怠管理システム

タイムカードや勤怠管理表の

デジタル化

月額数百円 / 1ユーザー ~

ワークフローシステム

稟議や経費申請のデジタル化

月額数百円 / 1ユーザー ~

電子契約システム

契約書のデジタル化

月額1000円前後~

文書管理システム

文書管理システム

画像引用:Ofigo契約書管理Fácil

文書管理システムは、紙の書類をスキャンしてデジタル化し、一元管理できるツールです。

文書管理システムを利用すれば、上画像のように検索機能で必要な書類にすぐアクセス可能。また、バージョン管理や閲覧権限の設定もできるため、紙媒体より高度な書類管理を実現できます。費用はサービスにもよりますが、月額1,000円程度から選べるものもあるため、手軽に導入できるツールといえるでしょう。

関連記事:文書管理システムとは?導入方法やメリット、導入時の注意点を解説

オンラインストレージ

スキャンした紙書類のデータ、顧客から共有されたファイルなどを保存するのにクラウドストレージは必要です。自社のファイルサーバーに保存してもいいですが、インターネットからのアクセスを考えると不便な場合もあります。

その点、オンラインストレージならインターネットにさえ繋がっていれば簡単にアクセスが可能です。

また、自動的にバックアップを取ってくれるため、災害やハードディスクの破損からデータを守るのにもオンラインストレージは適しています。

勤怠管理システム

マネーフォワード クラウド勤怠

画像引用:マネーフォワード クラウド勤怠

勤怠管理システムを利用すれば、タイムカードや紙の勤務表を使わなくても上画像のようにオンライン上で勤怠管理が可能です。とくに、従業員の労働時間や残業時間、休日出勤などをタイムカードで管理するのは大変。計算ミスも起きやすいため、勤怠管理システムで集計作業を自動化するのは大きなメリットがあります。

また、打刻だけでなくシフト管理や残業や休暇の申請管理機能などもできるので、業務改善という点でもおすすめです。

関連記事:【労務担当必読】勤怠管理システム比較16選|比較すべきポイントも解説

 

ワークフローシステム

クラウド型ワークフローシステム「承認Time」

画像引用:クラウド型ワークフローシステム「承認Time」

ワークフローシステムとは、稟議や経費申請などの手続き(ワークフロー)を自動化するサービス。ワークフローシステムを使えば上画像のようにオンラインで申請書の作成や承認ができ、紙を使った稟議や経費の申請に煩わされることもなくなります。ワークフローシステムはたくさんの会社から提供されているので、自社の規模にあった機能性と料金のものから選ぶようにしましょう。

関連記事:ワークフローシステム比較企業規模ごと22選!比較ポイント紹介

 

電子契約システム

みんなの電子署名

画像引用:みんなの電子署名

電子契約システムは、取引先との契約をオンラインで実施できるサービス。いまだに契約は紙という業界は多いですが、徐々に電子契約に移行している企業も増えてきています。電子契約システムを使えば、契約書類をクラウド上に保管できるだけでなく、そのままCRM(顧客管理システム)などの外部システムにも連携可能

安いサービスなら月額1,000円程度で利用できます。

関連記事:電子契約システム比較10選!比較ポイント・選び方・導入前の注意点も紹介

 

ペーパーレス化に成功した自治体・企業の具体的事例

ここからは、ペーパーレス化に成功した自治体や企業の具体例を紹介します。自社にも応用できるヒントがあるかもしれませんので参考にしてみてください。

長野県長野市

長野県長野市では、ペーパーレス化によって14万枚もの紙と印刷費用代300万円の削減に成功しています。

もともと同市では業務のデジタル化に取り組んでいたものの、思うような結果を出せていませんでした。そこで頻繁に開催される会議に着目。毎回大量に消費される紙の資料をデジタル化することにしました。主な取り組みは以下のとおり。

  • 会議室にパソコンと大型プロジェクターを2台設置
  • 会議に利用する資料は指定のフォーマットで要点を絞った内容のみを記載
  • 会議資料は前日までに指定のフォルダに格納することを義務化

同市では上記ルールで78回の会議を開催し、結果として大幅な資源とコストの節約に成功しました。また、会議の準備に2時間ほど必要でしたが、ペーパーレス会議にしたことで20分ほどに短縮されています。

参考:(巻末)「10のワークプレイス改革の取組」(詳細版)

青森県弘前市

青森県弘前市でもペーパーレス会議を導入し、紙14,000枚、印刷経費142,000円の削減に成功しています。

成功のポイントは、ペーパーレス会議アプリ「MetaMoJi Share for Business」を導入したこと。同市ではすでにタッチデバイスPCのSurface Proを使っており、MetaMoJi Share for Businessであればタッチ操作で利用できるため、Surface Proと親和性が高かった点も導入の決め手になりました。

また、印刷コストだけでなく、会議資料の準備工数も削減されています。従来は資料を準備するのに毎回3時間が費やされており、職員が残業して対応していました。しかし、ペーパーレス会議ではほとんど負担がなくなったとのことです。

会議資料の保管は、各自が持ち帰って保管しておりセキュリティに課題がありましたが、デジタル化したことで解消している点も見逃せません。

参考:MetaMoJi Share

コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社

コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社では、紙の文書を保存しない「ペーパーストックレス」に取り組み、東京タワー1本分の書類の削減に成功しています。

同社は紙の保管場所を限定し、書類をデジタル化することでペーパーストックレスを促進。共有文書は共有書庫へ、個人資料は個人ロッカーにしか収納できなくしました。また、座席を定めないフリーアドレス制を採用し、紙の資料をいつまでもデスクに放置できなくしたことも成功の要因と考えられます。

紙の文書の保管は、コンプライアンスや内部統制の観点から多くの社内規定があり、ペーパーレスで管理コストも削減されたとのことです。

参考:(巻末)「10のワークプレイス改革の取組」(詳細版)

ペーパーレス化のメリット・デメリットやスムーズに進める手順を説明しました

本記事では、ペーパーレス化のメリット・デメリットやペーパーレス化をスムーズに進める手順について説明しました。

紙の書類をデジタル化するのは相当な労力が必要です。しかし、ペーパーレス化はリモートワークの基盤であり、検索のしやすさなど多くのメリットがあるのも事実でしょう。ぜひ、次世代の働き方を実現するためにも、ペーパーレス化に取り組んでみてください。