タイムスタンプとは?役割・仕組み・利用目的・対象となる書類・利用方法を解説!

タイムスタンプとは?役割・仕組み・利用目的・対象となる書類・利用方法を解説!

タイムスタンプとはなにか?文書の電子保存や電子契約の普及にともなって、タイムスタンプという言葉を耳にするようになったが、詳しくはわからないという企業担当者は多いはず。

そんな方に向け、役割・仕組みから、利用目的・対象となる書類・利用方法まで、タイムスタンプとはなにかをわかりやすく解説していきます。

目次
  1. 1. タイムスタンプとは
  2. 2. タイムスタンプの役割
    1. 2-1. タイムスタンプと電子帳簿保存法 / e-文書法の関係
    2. 2-2. タイムスタンプと電子署名の違い
  3. 3. タイムスタンプの仕組み
    1. 3-1. 時刻認証局(TSA)とは
    2. 3-2. タイムスタンプ付与に必要なハッシュ値 / ハッシュ関数とは
  4. 4. タイムスタンプの利用目的・対象となる書類
  5. 5. タイムスタンプの利用方法・料金
    1. 5-1. 無料のAdobe Reader DCを利用する
    2. 5-2. TSAのタイムスタンプサービスを利用する
    3. 5-3. タイムスタンプ対応文書管理システムを導入する
    4. 5-4. 電子契約サービスを導入して電子署名も付与する
  6. 6. タイムスタンプの仕組みや対象書類を紹介しました

タイムスタンプとは

広義の意味でのタイムスタンプとは、電子データが「いつ」作成・更新・アクセスされたか?明らかにするため、データに「時刻を刻印(Timestamp)」する技術のこと。

たとえば、macOS / Windows / LinuxなどのデスクトップOSは、ファイル / フォルダの作成・更新日時を自動的に記録する機能を持っています。ITの分野では、このファイルシステム機能を「タイムスタンプ」と呼ぶ場合が一般的です。

一方、ビジネス分野で耳にすることの多くなったタイムスタンプとは、時刻印される前に電子文書が確かに存在していたこと、現在まで改ざんされていないことを証明する技術。電子データに時刻印するという意味ではどちらも同じですが、用途・役割はまったく異なります。本記事では、ビジネス分野で使われるタイムスタンプについて解説していきます。

タイムスタンプの役割

タイムスタンプの役割は、電子文書にタイムスタンプを付与した時点で該当文書が存在していたと証明すること。これを「存在時刻の証明」といいます。

もう1つは、電子文書にタイムスタンプが付与されてから現在まで、該当文書が改ざんされていないと証明すること。これを「非改ざん証明」といい、タイムスタンプの付与された電子文書と、オリジナル電子文書を比較することで「改ざんされていないこと」を証明できます。

タイムスタンプと電子帳簿保存法 / e-文書法の関係

それでは、なぜ電子文書にタイムスタンプを付与して「存在時刻の証明」「非改ざん証明」をしなければならないのか。それは、紙の文書と異なり、電子文書が容易に改ざんできるからにほかなりません。

法人で日々作成される文書には、一定の保存期間が設けられている重要書類も含まれます。当然、重要書類は「完全である」ことが絶対条件。しかし、通常の電子文書ではこの要件を満たせません。これを解決するため、タイムスタンプ付与を条件に、電子文書での保存を認めた法律が「電子帳簿保存法」「e-文書法」です。

どちらも、一定期間の保存が義務付けられた書類を、電子データで保存する要件を定めた法律ですが、対象となる文書はそれぞれ異なります。具体的には、国税関連書類を対象にした法律が電子帳簿保存法。商法・税法関連書類を対象にした法律がe-文書法です。

▼関連記事

電子帳簿保存法のスキャナ保存については、「電子帳簿保存法のスキャナ保存制度|

対象書類・要件・導入しやすくなった法改正のポイントを解説!」をあわせてご覧ください。

タイムスタンプと電子署名の違い

ただし、電子保存するにあたって、一部「文書の完全性」が法律で求められている書類も存在します。こうした書類は、タイムスタンプ を付与するだけでは完全性を証明できません。たとえば、契約書は当事者同士の合意を証明する必要がありますが、タイムスタンプ だけでは「いつ合意したか」「内容が改ざんされていないか」しか証明できません。

このような電子文書で利用されるのが、本人であることを証明する「電子署名」です。タイムスタンプによる「存在時刻の証明」「非改ざん証明」に、電子署名による「本人証明(真正性)」を加えることで電子文書の完全性を証明できます。

 

タイムスタンプ

電子署名

存在時刻の証明

×

本人証明(真正性)

×

非改ざん証明

タイムスタンプの仕組み

それでは、タイムスタンプはどのような仕組みで「存在時刻の証明」「非改ざん証明」を実現しているのでしょうか?簡単に解説していきます。

以下の図は、日本データ通信協会が公開している、タイムスタンプの仕組みを簡略化 / 図式化したものです。電子文書から生成したハッシュ値を受け取った時刻認証局が、ハッシュ値に時刻情報をプラスしたタイムスタンプを電子文書に付与しているのがお分かりでしょう。

タイムスタンプの仕組み

画像出典:日本データ通信協会

時刻認証局(TSA)とは

時刻認証局とは、利用者の求めに応じてタイムスタンプを付与する、および有効性を保証する機関のこと。タイムスタンプ局(Time Stamping Authority)と呼ばれることもあり、TSAには協定世界時(UTC)1秒以内で同期した時刻を配信することが求められています。

タイムスタンプ信頼性の基盤となる機関であり、2023年3月現在、日本データ通信協会から認定されているTSAは4社のみです。

  • アマノタイムスタンプサービス3161
  • セイコータイムスタンプ サービス
  • サイバーリンクスタイムスタンプサービス
  • MINDタイムスタンプサービス

タイムスタンプ付与に必要なハッシュ値 / ハッシュ関数とは

TSAが文書にタイムスタンプを付与するためには、文書から生成された「ハッシュ値」が必要。このハッシュ値を生成するために利用されるのが「ハッシュ関数」です。

ハッシュ関数とは、一定法則にしたがって、元データを意味のない文字列に変換する関数のこと。元データの長さにかかわらず、「決まった長さの文字列を出力する」こと、「入力値が同じなら同じハッシュ値を出力する一方向性を持つ」ことがハッシュ関数の特徴です。

たとえば、元データが3文字でも、1,000文字でも、ハッシュ関数を使えば「同じ長さのハッシュ値」が出力されます。元データの文字が1つでも異なればまったく異なるハッシュ値が出力されるため、ハッシュ値から元データを推測することも困難です。

この特徴を利用することで、タイムスタンプは検証に時間をかけることなく「存在時刻の証明」「非改ざん証明」を実現しています。タイムスタンプ付与のステップも簡単に解説しておきましょう。

タイムスタンプ付与のステップ1:要求

「要求」とは、文書から生成されたハッシュ値をTSAに送り、タイムスタンプ付与を要求するステップのこと。文書からハッシュ値を生成するには、タイムスタンプを付与できるソフトウェア / アプリケーションが必要です。

タイムスタンプ付与のステップ2:発行

「発行」とは、ハッシュ値を受け取ったTSAが、ハッシュ値に時刻情報を追加したタイムスタンプを発行、利用者に返すステップのこと。一般的に、ハッシュ値に時刻情報を追加したものをタイムスタンプと呼びますが、正確には「タイムスタンプトークン」といいます。

タイムスタンプ付与のステップ3:検証

「検証」とは、タイムスタンプと元データを比較することで、文書が改竄されていないことを検証するステップのこと。上述したように、データが同じであれば同じハッシュ値が出力されるため、タイムスタンプのハッシュ値と元データのハッシュ値を比較することで、非改ざんを検証できます。

タイムスタンプの利用目的・対象となる書類

タイムスタンプの利用目的は、法定保存文書などを電子保存する際に求められる、書類の「存在時刻の証明」「非改ざん証明」を担保すること。具体的には、電子帳簿保存法 / e-文書法でタイムスタンプ付与が求められている書類、あるいは、対外的に書類の存在時刻 / 非改ざんを証明したい書類です。対象となる主な書類は以下の通り。

タイムスタンプの対象書類

根拠となる法律

備考

スキャナ保存する国税関係書類

(領収書、請求書、納品書など)

電子帳簿保存法

スキャナ保存制度

自社で作成した控えも含む。

履歴の残るシステムで作成した書類は

タイムスタンプ不要

国税関係書類(電子取引)

電子帳簿保存法

ECサイトやメールなどを利用した取引情報。

履歴の残らないファイルには

タイムスタンプを付与して保存

国税関係書類(契約書)

電子帳簿保存法

契約書の本人性を証明するため電子署名も必要

知的財産関連書類

(研究報告書、論文、図面など)

e-文書法

先使用権、先発明主義の証明

電子カルテ

e-文書法

記名・押印が必要な書類には、電子署名も必要

タイムスタンプの利用方法・料金

タイムスタンプを利用する方法にはいくつかがありますが、いずれの場合もハッシュ値を生成できるソフトウェア / アプリケーションが必要。一般的には、既存のサービス / アプリケーションを利用しますが、ライブラリを使ってアプリを自社開発することも可能です。

本記事では、タイムスタンプを利用する主な方法、および、それぞれを代表するサービスの利用料金を紹介していきます。

無料のAdobe Reader DCを利用する

無料のAdobe Reader DCを利用する

画像出典:Adobe

タイムスタンプを利用するもっとも簡単な方法は、無料のAdobe Reader DCを使ったPDFへのタイムスタンプ付与です。だれでも無料で利用できるタイムスタンプサーバを指定できるため利用料金がかからず、設定 / 付与方法も簡単。Reader DC内でのタイムスタンプ検証や、電子署名を追加することも可能です。

ただし、タイムスタンプが付与できるのはPDFのみ。タイムスタンプの一括付与にも対応しないため、大量の文書にタイムスタンプを付与したい企業には向いていません。

▼関連記事

PDFへのタイムスタンプ付与方法については、「PDFにタイムスタンプを付与する方法|

概要・用途・電子帳簿保存法との関係も解説!」をあわせてご覧ください。

TSAのタイムスタンプサービスを利用する

大量の電子文書にタイムスタンプのみ付与したいという場合は、一部のTSA(時刻認証局)が提供しているタイムスタンプサービスを利用する方法があります。代表的なサービスとしては、アマノセキュアジャパン株式会社の提供する「アマノタイムスタンプサービス3161」が挙げられます。

アマノタイムスタンプサービス3161

アマノタイムスタンプサービス3161

画像出典:アマノセキュアジャパン

アマノタイムスタンプサービス3161は、TSAでもあるアマノセキュアジャパン株式会社が提供するタイムスタンプサービスです。同社が公開するライブラリでアプリケーションを自社開発し、タイムスタンプサービスのみ利用する方法。および、同社アプリケーションを購入してPDFタイムスタンプサービスを利用する方法があります。

あらゆるファイル形式の文書にタイムスタンプを付与したい場合は、ライブラリを使った自社アプリ開発が必要。複数のPDF文書に一括でタイムスタンプを付与したい場合、同社アプリケーション「e-timing EVIDENCE 3161ソフトウェア」の購入が必要です。

アマノタイムスタンプサービス3161 利用料金
 

従量制メニュー

定額制メニュー

初期導入費用

(アカウント発行費用)

6,600円 / アカウント

6,600円 / アカウント

月額費用

(ランニング費用)

基本料金:8,800円

(1,000スタンプ利用料含む)

アカウント管理費用:

550円 / アカウント

要問い合わせ

e-timing EVIDENCE 3161ソフトウェア料金
 

e-timing EVIDENCE 3161 for PDF Click

e-timing EVIDENCE 3161 for PDF Auto

製品価格

360,800円 / 1CPU

198,000円 / 1CPU

サービス利用料金

1年目は製品価格に含まれる。

2年目以降は79,200円 / 年額

別途、アマノタイムスタンプサービス3161の契約が必要

※価格はすべて税込み

タイムスタンプ対応文書管理システムを導入する

タイムスタンプに対応する一部文書管理システムを導入することで、文書管理しながら自動でタイムスタンプを付与する方法もあります。代表的なサービスとしては、インフォコム株式会社の提供する「MyQuick」が挙げられます。

MyQuick

MyQuick

画像出典:MyQuick

MyQuickは、インフォコム株式会社が提供するオンプレミス / クラウド両対応の文書管理システムです。豊富なプラン / オプションが用意されており、拡張性に優れることが特徴。オープン価格の「プレミアムプラン」なら、タイムスタンプのほかにOCR機能も利用可能。スキャンした文書をフォルダに保存するだけでタイムスタンプを付与できます。

GMOサイン、DocuSign、CLOUDSIGNなどと連携できるため、電子契約の締結から契約書の保存まで、他の文書とまとめて一元管理することも可能です。

電子契約サービスを導入して電子署名も付与する

タイムスタンプ付与が必要な文書は多くないが、手間と時間のかかる契約業務を合理化したいという場合は、電子契約サービスの利用がおすすめです。代表的なサービスとしては、弁護士ドットコム株式会社の提供する「CLOUDSIGN」が挙げられます。

CLOUDSIGN

CLOUDSIGN

画像出典:CLOUDSIGN

CLOUDSIGNは、国内130万社以上が導入している電子契約サービスです。契約にメールアドレス認証を利用するため、電子契約でハードルになりやすい「取引先の問題」を解決しやすいことが特徴。Corporateプラン以上なら紙文書のインポートも可能。無料プランも用意されているため、電子署名 + タイムスタンプの使い方を試すことも可能です。

 

Light

Corporate

Enterprise

月額費用

11,000円

30,800円

要問い合わせ

送信1件ごとの費用

220円

220円

要問い合わせ

(ボリュームディスカウントあり)

ユーザー数 / 送信件数

無制限

無制限

無制限

タイムスタンプの仕組みや対象書類を紹介しました

文書の電子保存や電子契約の普及にともなって耳にするようになったタイムスタンプ。電子帳簿保存法とも関係するらしいが、詳しくはわからない。そんな企業担当者に向け、役割・仕組みから、利用目的・対象となる書類・利用方法まで、タイムスタンプとはなにかをわかりやすく解説してきました。

ペーパーレスにも寄与するタイムスタンプですが、これまではあまり関心を持たれていなかったかもしれません。

しかし、電子取引情報の紙文書保存が原則禁止となったこと、2023年から施行されるインボイス制度の影響もあり、タイムスタンプの必要性は高まっています。早い段階で、タイムスタンプに関する自社の方針を明らかにしておくことがおすすめです。