ネットワーク設計を行う5ステップ|実施時のポイントも解説
新たなネットワークの構築は経験がないと、どのような設計をすればよいのかイメージできない方もいるでしょう。
本記事では、ネットワーク設計を行う流れや実施時のポイントを解説します。ぜひ参考にしてみてください。
ネットワーク設計とは
ネットワーク設計とは、ネットワークに求める要件に基づいて、どのように構築するのかを設計書に落とし込むことです。設計書をもとにこの後の構築作業を進めるため、後から変更がないように正確な設計を行う必要があります。
ネットワーク設計の流れ5ステップ
1.現状を分析する
ネットワークを設計する際は現状を把握することで、効果的なネットワークを構築できるようになります。
ネットワークに接続する社員数を把握する
ネットワークに接続する社員数と、今後の社員数の増減を予想しましょう。デバイス数によって、IPアドレスのクラス分けをする必要があるためです。会社の規模に見合うネットワークを構築することで、快適に業務を行えるようになります。
IPアドレスのクラス分けは、以下のとおりです。
会社の規模 |
クラス |
IPアドレスの最初の文字 |
大規模(最大1,600万台) |
クラスA |
1〜126 |
中規模(最大65,000台) |
クラスB |
128〜191 |
小規模(最大254台) |
クラスC |
192〜223 |
将来的な拡張性を検討する
将来的にネットワークを拡張する必要があるなら、余裕を持った設計を行う必要があります。拡張性を持たせておけば、従業員の数が増えてもスムーズにネットワークを使えます。
逆に拡張性がないとIPアドレスが枯渇してしまうため、従業員の増加に伴って再度ネットワークの見直しをしなければなりません。
アプリケーションの利用状況
アプリケーションの利用状況も確認が必要です。現状に合わせたネットワークを構築することで、通信速度の遅延を抑えられます。アプリケーションの利用によってデータ通信量が多くなっても快適にアプリケーションを使えるでしょう。
2.現場社員から改善点をヒアリングする
すでにネットワークを利用しているなら、現場の不満をヒアリングすることも欠かせません。現場社員の不満を把握した上で、解決できるネットワークを構築すれば業務の利便性を高められます。業務をスムーズに行えるようになり、結果的に生産性の向上につながります。
3.基本設計
目的・制約を明確にする
ネットワークの設計・構築をする際は、目的・制約を明確にすることが重要です。具体的に決めておくとゴールをイメージできるようになり、想定通りのネットワークを構築できます。
現場社員からヒアリングした項目をもとに、なぜネットワークを設計・構築するのかについて明確にしていきましょう。さらに、接続するシステムや機器なども整理してみてください。
自社に合うネットワークの種類を検討する
会社の規模や拠点数などによってネットワークの種類が異なります。
例えば、以下のような種類があります。
- LAN:Local Area Networkの略で、限定されたエリアのネットワーク
- WAN:Wide Area Networkの略で、離れたエリアをつなぐネットワーク
1拠点や1フロアであればLANで十分ですが、複数拠点を接続するならWANの構築が必要です。
ネットワークの接続形態(トポロジー)を決める
ネットワークの接続形態には様々なものがあります。
バス型 |
両端にネットワーク終端装置を設置し、 1本の同軸ケーブルに複数の端末を接続する形態。 ケーブルを延長するだけで拡張できる。 中心のケーブルに障害があるとシステム全体で通信が停止する。 |
スター型 |
1台のハブ(集線装置)に複数の端末を接続する形態。 システムを停止せずに、端末の追加・取り外しができる。 一部の端末やケーブルに障害が発生してもシステム全体への影響はない。 |
リング型 |
各端末をリング状に接続する形態。 端末1台でも障害が発生すると通信ができなくなる。 |
ツリー型 |
木の枝のように階層的に接続する形態。 複数のスター型を接続して、1つのネットワークを構築する。 端末に障害が発生してもシステム全体に影響はない。 ルート(ルーターなど)に障害があると、システム全体の通信に影響がある |
メッシュ型 |
複数のノード(ネットワークの接点)が相互接続する形態。 一部の接続が停止しても、迂回して通信が行われる。 冗長性が高い。 |
例えば、障害に強いネットワークを構築したいなら、冗長化できるメッシュ型のネットワークトポロジーが適しています。このように、自社に合うネットワークを選定しましょう。
構成図を作成する
基本設計では、ネットワークの全体像を把握できる構成図を作成します。構成図には「物理構成図(物理ネットワーク)」と「論理構成図(論理的なネットワーク)」の2種類があります。
物理構成図は、接続するシステム、機器、既存ネットワークなどの関係を可視化。論理構成図は、IPアドレス、サーバーの役割などを決めます。
前の工程で決めたネットワークの接続形態を元に、構成図を作成してみてください。
導入するアプリケーションを決める
現状分析を元に、現場社員が必要とするアプリケーションを検討します。各部署によって、利用するアプリケーションが異なるため、現場にヒアリングを行いながら決めましょう。
例えば、営業であれば販売管理、エンジニアはプロジェクトの工数管理などが挙げられます。
構築スケジュールを調整する
ネットワーク設計では、構築スケジュールの調整も欠かせません。あらかじめスケジュールを決めておくと、いつまでに何をやるのかを明確にできます。
特に大規模なネットワーク構築になるほど、自社のみで対応できないケースが出てきます。関係各所と連携して具体的なスケジュールを決め、抜け漏れなく対応できるようにしましょう。
4.詳細設計
セキュリティ対策を検討する
ネットワークを構築する際は、セキュリティ対策を行うことが重要です。適切な対策を行えると、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃などを防げます。
具体的な対策として、ファイアウォールやウイルス対策ソフトなどが挙げられます。ファイアウォールは社内ネットワークとインターネットの境界に設置され、許可されていない通信の侵入を防ぐことが可能です。
また、ウイルス対策ソフトは、コンピュータウイルスを検知して排除できる機能が搭載されています。自社の課題を元に、適切な対策を行いましょう。
ネットワーク機器を設置する場所を確認する
ネットワークを構築する際は、機器の導入を行うことになります。小規模なネットワークであればルーターの設置のみで完了します。しかし、大規模なネットワークになると、サーバーやスイッチなど導入する機器が多くなります。
ネットワーク機器を自社に置くのか、外部のデータセンターを利用するのか、という設置場所を決めましょう。設置場所が決まったら、機器を稼働させられる電源があるかを確認してみてください。
もし電源が不足している場合は、工事が必要になるためスケジュールに余裕を持って行いましょう。
トラブルに備えたネットワークの冗長化を検討する
ネットワークの冗長化とは、トラブルに備えて性能や構成などが同一のシステムや設備の予備を用意しておくことです。
ネットワークを運用していると、何かしらのトラブルが発生する可能性があります。ネットワークが停止すると、通信ができなくなるため、業務が行えなくなるリスクがあるでしょう。
ネットワークを冗長化させれば、万が一障害が発生しても継続して通信ができるようになります。
構築後の運用体制を検討する
ネットワークは構築して終わりではありません。安定稼働できるように運用していく必要があり
ます。
設計の段階で構築後にどのような運用をするのかを決めておきましょう。あらかじめ明確にしておくと、構築後にスムーズに運用を開始できます。
5.運用しながら改善
ネットワークは構築後に、新たな問題が発生する可能性があります。構築後に運用をしながら、ネットワーク設計を改善していきましょう。
また、現場社員のヒアリングも行う必要があります。現場の改善点を明確にして、解消できるようにネットワークを見直しましょう。
ネットワーク設計の際は、誰にとってもわかりやすい構成にするのがポイント
ネットワークを設計するなら、わかりやすい構成にすることが重要です。ネットワークの規模が大きくなるほど複雑化するため、誰が見てもわかるシンプルな構成にする必要があります。
特定の人しかわからない設計は、内容を理解するのに時間がかかります。万が一、トラブルが発生した際に、原因究明や対処が遅れる可能性があります。
ネットワーク設計を行ったら、複数人で確認してわかりやすいものを作成しましょう。
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ネットワーク設計【まとめ】
ここまでネットワーク設計の概要や具体的な流れを紹介してきました。
ネットワーク設計を行う流れは全部で5ステップです。中でも現状分析や現場社員のヒアリングは欠かせません。
企業が抱える改善点を解決できるネットワークを設計・構築できれば、従業員の利便性を高められます。