テレワークに必要なもの|環境整備で考慮しておきたいこと・推進のポイントも解説!

テレワークに必要なもの|環境整備で考慮しておきたいこと・推進のポイントも解説!

多様な働き方を推進するためテレワーク導入を検討しているが、なにを準備すればいいかわからない。会社で導入されたテレワークにどう対応すればいいかわからない。

そんな方に向け、テレワークに必要なものを具体的に解説!テレワーク環境を整備する上で考慮しておきたいこと、テレワーク推進のポイントも紹介していきます。

目次
  1. 1. テレワークとは
    1. 1-1. 在宅勤務 / モバイルワーク / サテライトオフィス勤務
  2. 2. テレワークに必要なもの一覧表
  3. 3. テレワークに必要なもの:基本
    1. 3-1. PC / スマートフォン / タブレット
    2. 3-2. インターネット環境
  4. 4. テレワークに必要なもの:在宅勤務
    1. 4-1. インターネット回線
    2. 4-2. VPN / リモートデスクトップ環境
    3. 4-3. デスク / オフィスチェア
    4. 4-4. 業務ツール / コミュニケーションツール
    5. 4-5. ヘッドセット
    6. 4-6. Webカメラ
    7. 4-7. あると便利なPC周辺機器
  5. 5. テレワークに必要なもの:モバイルワーク
    1. 5-1. モバイルルーター
    2. 5-2. モバイルバッテリー / 充電器
  6. 6. テレワークに必要なもの:サテライトオフィス勤務
  7. 7. テレワークの環境整備で考慮しておきたいこと
    1. 7-1. PC端末 / ツールの管理
    2. 7-2. 社内データへのアクセス環境
    3. 7-3. セキュリティ対策
  8. 8. テレワーク推進のポイント
    1. 8-1. 勤務ルールの策定 / 労務管理
    2. 8-2. 進捗管理 / 報告の仕組みづくり
  9. 9. テレワークに必要なものを紹介しました

テレワークとは

テレワークは「Tele(離れた場所)」と「Work(労働)」を組み合わせた造語です。文字通り、ICT(情報通信技術)を活用することによって、働く場所や時間に柔軟性を持たせた勤務形態のことをテレワークといいます。

テレワークと似た意味で使われる言葉には、遠隔地で働くことを総称した「リモートワーク」もあります。ほぼ同じ意味で使われるテレワーク / リモートワークですが、リモートワークには明確な定語がありません。そのため、厚生労働省をはじめとした公的な場面では「テレワーク」を使う場合が多いようです。

在宅勤務 / モバイルワーク / サテライトオフィス勤務

それでは、テレワークとは具体的にどのような働き方なのか。厚生労働省では「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」のいずれか、もしくはその組み合わせをテレワークと定義しています。

在宅勤務

自宅を就業場所にする勤務形態。

時間を有効活用できるため、ワークライフバランスを実現できる

モバイルワーク

移動中・顧客先・カフェなどを就業場所とする勤務形態。

さまざまな場所で効率的に仕事をこなすことで生産性向上が見込める

サテライトオフィス勤務

オフィス以外のコワーキングスペースを就業場所にする勤務形態。

遠隔地に居住する優秀な人材を確保できる

参考:厚生労働省

テレワークに必要なもの一覧表

 

必要なもの

チェック

基本

PC / スマートフォン / タブレット

インターネット環境

在宅勤務

インターネット回線

VPN / リモートデスクトップ環境

デスク / オフィスチェア

業務ツール / コミュニケーションツール

ヘッドセット

Webカメラ

PC周辺機器もあると望ましい

モニター / キーボード / マウスなど

モバイルワーク

テレワーク端末

モバイルルーター

モバイルバッテリー / 充電器

サテライトオフィス

業務ツール / コミュニケーションツール

をインストールした端末

インターネット環境/作業環境構築に必要なもの

※オフィスの状態による

テレワークに必要なものを一覧表にまとめました。チェックボックスも設けているので、印刷などして実際に準備するときに活用してみてください。

テレワークに必要なもの:基本

大きく3つの勤務形態が挙げられていることからも分かるように、テレワークに必要なものは働き方や職種に応じて異なります。ただし、厚生労働省によるテレワークの定義には「ICTを活用する」ことが含まれます。

つまり、ICTを活用するための「テレワーク用端末」および「インターネット環境」が、テレワークに必要なものの基本です。

PC / スマートフォン / タブレット

テレワーク用端末とは、インターネットに接続することで、オフィスにいるときと同様に業務をこなせる端末のこと。具体的には、PC(パーソナルコンピューター)/ スマートフォン / タブレットなどが挙げられます。

PC / タブレット、どちらをテレワークに利用するかは勤務形態や職種に応じて異なりますが、いずれにしてもスマートフォンは併用することになるでしょう。電話連絡 / 報告 / コミュニケーションなど、さまざまな場面でスマートフォンが欠かせないものだからです。

テレワーク端末はだれが用意する?

テレワーク導入・推進にあたって大きな負担となるのが、端末を用意するための費用です。しかし、これは会社負担とする方がベター。なぜなら、ハードウェア / ソフトウェアはもちろん、セキュリティ面も含め、会社が端末を容易に管理できるからです。

たしかに、就業規則に明記してあれば、テレワーク端末の購入費用を従業員に負担させることも可能です。ただし、管理 / コントロールが及ばないため、シャドーITやウイルス感染などのリスクは確実に高まります。

社内システムが端末経由でウイルス感染すれば、情報漏洩インシデントにつながることも。総合的な対策を施すためにも、適切なスペックの端末を会社側で用意することがおすすめです。

関連記事:パソコンのセキュリティ|重要性・対策・設定・おすすめセキュリティソフトを紹介!

インターネット環境

社内データにアクセスできるインターネット環境も、テレワークに最低限必要なものの1つです。もちろん、勤務形態によってインターネット環境構築に必要なものは異なります。Web会議や大容量データのやりとりを前提とするなら、快適に業務をこなすためにも高速なインターネット回線が必要です。

テレワークに必要なもの:在宅勤務

それでは、端末 / インターネット環境という基本を踏まえた上で、勤務形態別にテレワークで必要なものを紹介していきましょう。まずは、自宅を就業場所にする「在宅勤務」の場合です。

インターネット回線

在宅勤務でテレワークする場合にまず必要なものは、充分に高速なインターネット回線です。なぜなら、落ち着いた環境で仕事のできる在宅勤務の場合、オフィス勤務時と同等以上の生産性、パフォーマンスが求められるから。インターネット回線がボトルネックになるようではいけません。

近年では光回線が普及したことにより、自宅環境でも通信速度が問題になることはありませんが、そもそもインターネット回線がないのであれば新規契約が必要です。新規契約となれば即日開通というわけにはいかないため、自宅の状況を確認しておきましょう。

VPN / リモートデスクトップ環境

インターネット環境だけでは、社内データへ「安全に」アクセスできません。VPN(Virtual Private Network)環境、もしくはリモートデスクトップ環境が必要です。

VPNとは、文字通り「自宅とオフィスを仮想的な専用線で接続する」技術のこと。リモートデスクトップとは、インターネット経由で社内PCを遠隔操作する技術のこと。どちらも従業員が個人的に用意するものではないため、接続方法については会社側で方針を決め、準備を進めていきます。

VPNのメリット・デメリットについては以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:VPN導入のメリット|知っておきたいデメリット・VPNの基礎知識も解説!

デスク / オフィスチェア

作業用のデスク / オフィスチェアも、テレワーク時に必要なものです。
自宅ではついついダイニングやリビングで作業してしまいがちですが、集中できる環境を整えなければ生産性が上がらないからです。

そもそも自宅に仕事用のスペースを確保すること自体が難しい、という方も少なくないかもしれません。そんな場合は、パーティションなどの活用がおすすめ。家族がいる方でも仕事に集中できる環境を作れます。

業務ツール / コミュニケーションツール

普段の業務で利用しているソフトウェア / ツールはもちろん、コミュニケーションツールもテレワーク端末にインストールしておきましょう。

コミュニケーションが不足しがちなテレワークでは、意図的にコミュニケーション機会を設ける必要があるからです。Slack / Chatworkなどのチャットツール、グループウェアを中心に、顔の見えるWeb会議を織り交ぜていくことがおすすめ。テレワーク中のプロジェクトを円滑に進めていくためにも必要なものです。

ヘッドセット

一般的なラップトップPCであれば、マイク / スピーカーを用意する必要はありませんが、Web会議を円滑に進めるためにもヘッドセットは欲しいところ。ラップトップPC内蔵のマイク / スピーカーは音が不明瞭になりがちだからです。

ヘッドセットを利用すれば、お互いの声を明瞭に聞き取ることが可能。発言内容を聞き返すことがなくなり、Web会議をスムーズに進められます。

Webカメラ

テレワーク端末にカメラが搭載されていなければ、Web会議用のカメラも必要。カメラを内蔵したラップトップPCを利用する場合でも、Web会議をスムーズに進めるため、外付けのカメラを用意することがあります。

これはマイク / スピーカーと同様、PCの内蔵カメラの解像度が低い場合があるから。直接対面ではない分、Web会議では相手の表情を読み取ろうとする心理が働きます。特に取引先とのミーティングや商談では重要な要素。テストしてみた上で解像度が足りないと感じるようなら、専用のWebカメラを用意するのがおすすめです。

あると便利なPC周辺機器

ラップトップPCを利用することの多いテレワークでは必須といえないものの、モニター / キーボード / マウスなどのPC周辺機器を用意しておくと便利です。特に、オフィスでデスクトップPCを利用している方なら、業務環境を揃えるためにも有効。

普段からラップトップを使っている方でも、大画面モニターで表示領域を増やすことにより、作業効率を高められるでしょう。目線の高さに調節しやすいため、正しい姿勢で作業できるという効果も得られます。

テレワークに必要なもの:モバイルワーク

続いて、移動中・顧客先・カフェなどを就業場所とするテレワーク「モバイルワーク」に必要なものを紹介していきます。とはいえ、移動しながらの勤務が基本となるモバイルワークでは、あまり多くのものを持ち歩けません。基本は「業務ツール / コミュニケーションツールのインストールされたテレワーク端末」です。

モバイルルーター

モバイルワークで最低限必要なものは、インターネットに接続するためのモバイルルーター。悪意ある第三者のバックドア(裏口)となり得る、無料Wi-Fiの利用を防ぐためです。

もちろん、モバイルルーター経由でインターネット接続するだけでは、社内ネットワークへ「安全に」接続できません。インターネット上に専用のアクセスポイントを設ける「リモートアクセスVPN」導入などの対策が必要です。

モバイルバッテリー / 充電器

移動中のバッテリー切れで業務が中断してしまわないよう、モバイルバッテリー / 充電器を携帯しておきましょう。近年はバッテリーが内蔵されているラップトップPCも少なくないため、モバイルバッテリーが有効。複数機種で使えるものを選んでおくと便利です。

テレワークに必要なもの:サテライトオフィス勤務

オフィス以外のコワーキングスペースを就業場所にするテレワーク「サテライトオフィス勤務」で必要なものも紹介しておきましょう。基本はモバイルワーク同様、業務ツール / コミュニケーションツールのインストールされたテレワーク端末。サテライトオフィス勤務では、従業員がコワーキングスペースに出勤する形になるためです。

ただし、在宅勤務 / モバイルワークと異なり、インターネット環境 / 作業環境は「サテライトオフィスとして利用する施設」に常設しなければなりません。

たとえば、賃貸物件を借りてサテライトオフィスとするなら、VPNを含むインターネット環境、デスク / オフィスチェアなどの作業環境は、会社側で準備する必要があります。レンタルオフィスなら施設のインターネット / 作業環境を使えますが、リモートアクセスVPNなど、社内ネットワークへ安全に接続する仕組みが必要です。

テレワークの環境整備で考慮しておきたいこと

ここまでで、テレワークに必要なものを勤務形態ごとに紹介してきました。

しかし、ただ必要なものを用意するだけではいけません。テレワークの導入・推進は、優秀な人材を確保するために有効である一方、勤務場所が多様化することによって機密情報・個人情報の漏洩リスクが高くなるからです。

それでは、情報漏洩リスクを回避するために、テレワーク環境を整備する際、どのようなことを考慮しておけばいいのか?簡単に解説していきます。

個人情報漏洩の防止対策については以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:個人情報漏洩の防止対策|情報流出原因や被害事例、企業・従業員別の対策を解説!

PC端末 / ツールの管理

本文内でも触れましたが、テレワークに利用する端末および、端末にインストールするツールを会社でしっかり管理することが重要です。インターネットには無料で使えるツール / サービスが多数存在し、業務に使えるからと、考えなしに利用しているケースが見られます。しかし、こうした「シャドーIT」は、悪意ある第三者の侵入経路に利用されがち。

シャドーITを防ぐには、どの端末にどのようなツールがインストールされているかを把握し、許可されていないツールの利用を制限すること。ポリシーに従ったインターネットの利用を徹底することが重要。会社側でテレワーク端末を用意した方がベターなのはこのためです。

社内データへのアクセス環境

社内で管理する重要データを保護するためにも、外部から接続するテレワーク端末が、安全にアクセスできる環境を整備しておく必要があります。外部から社内データにアクセスできなければテレワークは成立しませんが、端末がウイルス感染していた場合、社内システムに感染が拡大してしまう可能性があるからです。

VPN接続の環境を整えるだけでは、こうしたインシデントを回避できません。リスクを低減させるためにも、もう一歩の対策が欲しいところ。たとえば、社内LANに接続する端末の「簡易的なウイルスチェック」を可能とした「Cisco AnyConnect」導入などを検討することがおすすめです。

Cisco AnyConnect

Cisco AnyConnect

画像出典:シスコシステムズ

Cisco AnyConnectについては以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:Cisco AnyConnectとは?VPNを超えるSMCサービスの実力を紹介!

セキュリティ対策

テレワーク端末本体、および利用する従業員に対するセキュリティ対策も必要です。

たとえば、端末となるPCに関する主なセキュリティ対策は以下の4つ。

  • OS / ソフトウェアを常に最新バージョンへアップデート
  • OSのファイアウォールはON
  • ID / パスワードの使い回しをしない
  • ウイルス対策ソフトをインストール

うっかりミスが情報漏洩につながらないよう、従業員に対するセキュリティ教育も実施すべきでしょう。たとえば、近年頻発しているサイバー攻撃「標的型攻撃」は、添付ファイルを「うっかり」開けてしまうことを狙い、取引先などを装ってメールを送りつけるのが主な手口です。

こうした情報を「知識」として知っておけば、うっかりミスによる情報漏洩リスクを低減できます。

テレワーク推進のポイント

テレワーク推進のポイント

環境を整備して導入したテレワークは、成果につなげたいもの。不足しがちなコミュニケーションを補うことが、テレワークの生産性を高めるポイントであることは解説しましたが、そのほかに考慮しておきたいポイントも紹介しておきます。

勤務ルールの策定 / 労務管理

大きく3つの勤務形態に分類できるテレワークでは、勤務ルールを策定し、しっかりと労務管理していくことが重要です。たとえば、オフィスに出社しない在宅勤務は、勤務時間が不規則になりがち。モバイルワークでタイムカードを打刻しに会社に戻るのでは本末転倒です。これでは生産性を高められません。

就業時間、直行・直帰などの勤務ルールを明確にし、勤怠管理システムやグループウェアなどで効率的に労務管理していく必要があります。

進捗管理 / 報告の仕組みづくり

チーム全員が顔を合わせるわけではないテレワークでは、上司が業務 / プロジェクトの方向性を判断するためにも、メンバーからの報告をもとにした進捗管理が重要。そのためには、各メンバーの行動を可視化し、チームで共有できる仕組みづくりが必要です。

具体的には、報告のルールを定め、グループウェアなどを活用しながらスケジュール・行動を管理していくなどが考えられます。営業部門でモバイルワークを導入するなら、SFAを活用し、スケジュール・報告と同時に案件も管理していくといいでしょう。

テレワークに必要なものを紹介しました

多様な働き方を推進するためテレワーク導入を検討しているが、なにを準備すればいいかわからない。会社で導入されたテレワークにどう対応すればいいかわからないそんな方に向け、テレワークに必要なものを具体的に解説してきました。

端末とインターネット環境さえあればテレワークできると考えがちですが、意外に必要なもの、考慮すべきことは少なくありません。安易にテレワークを導入して失敗してしまわないよう、さまざまな観点をもとにしっかり環境整備を進めていくことが重要です。