リモートワークのデメリットとは?対策や成功事例、おすすめのツールも解説

リモートワークのデメリットとは?対策や成功事例、おすすめのツールも解説

リモートワークを導入したくても、デメリットが気になってしまう人は少なくありません。リモートワークにはデメリットもありますが、対策をすれば企業の強みにもなりえます

本記事を最後まで読むことで、リモートワークのデメリットを把握し、その対策を取れるようになります。ぜひ参考にしてみてください。

目次
  1. 1. リモートワークの現状
    1. 1-1. リモートワークの普及率
    2. 1-2. リモートワークの形態
    3. 1-3. リモートワークが多い職種 
  2. 2. リモートワークのデメリットと対策
    1. 2-1. 労働環境の構築が難しい
    2. 2-2. 社内のコミュニケーションが不足しやすい
    3. 2-3. 労務管理・マネジメントが難しい
    4. 2-4. 情報セキュリティ体制の整備が必要
    5. 2-5. 書類への押印対応に時間がかかる
  3. 3. リモートワークのメリット・効果
    1. 3-1. 働き方改革が進んだ
    2. 3-2. 業務プロセスの見直しができた
    3. 3-3. コスト削減ができた    
  4. 4. リモートワーク導入の成功事例
    1. 4-1. 株式会社パソナグループ
    2. 4-2. 富士通株式会社
    3. 4-3. フジ住宅株式会社
  5. 5. リモートワークのデメリットや対策を紹介しました

リモートワークの現状

コロナ禍に伴って、リモートワークを導入する企業は増加傾向にあります。ニュースや新聞などで目にする機会も増えたため、感覚的にそう思っている人も多いでしょう。とはいえ、実態はどうなのでしょうか。

リモートワークの普及率

リモートワークの普及率

(画像参照元:国土交通省「令和3年度テレワーク人口実態調査」

国土交通省の「令和3年度テレワーク人口実態調査」によれば、リモートワークを導入している企業は増加傾向にあります。

数値を見てみると、企業に雇用されている従業員でテレワークをしている人(雇用型テレワーカー)の割合が大幅に上昇。コロナ禍前の2017年が14.8%だったのに対し2021年では27.0%に上昇しています。地域別にみると、首都圏の割合が相対的に高く、雇用型テレワーカーは42.1%に上っています。

2020年、感染症予防のため政府から発令された緊急事態宣言では、多くの企業がテレワークを導入し話題になりました。

リモートワークの形態

形態

就業場所

在宅勤務

自宅

モバイルワーク

電車や新幹線などの移動中、カフェ

サテライト/コワーキング

企業のサテライトオフィス、コワーキングスペース

ワーケーション

リゾートなどのバケーションを楽しめる地域

リモートワークには4つの分類があります。

在宅勤務は、就業場所を自宅に定めており、ほかのリモートワークと比べて場所を限定した形態です。

モバイルワークは電車・新幹線での移動中や、移動の合間にカフェで働くというもの。営業や出張の多い職種に多く見られる形態です。

サテライト/コワーキングは、企業が用意したサテライトオフィスやコワーキングスペースで就業する形態です。あえて都心ではなく地方にサテライトオフィスを用意し、従業員のリフレッシュや気分転換に利用されることもあります。

ワーケーションは、旅行に行きつつ一部の時間で仕事をするスタイルです。

リモートワークが多い職種 

リモートワークが多い職種

(画像参照元:国土交通省「令和3年度テレワーク人口実態調査」

リモートワーク人口が増えてきているとはいえ、現状すべての職種でリモートワークができているわけではありません。向いている職種とそうでない職種にわかれます。

国土交通省の「令和3年度テレワーク人口実態調査」ではリモートワークが多い職種は以下のとおりです。

  • 研究職:64.1%
  • 営業職:51.1%
  • 管理職:51.1%
  • 専門・技術職:49.8%

1人で業務が進められる職種はテレワークに適しているといえそうです。一方で、対人サービス業や製造系の業種はテレワークが難しいことがわかります。

リモートワークのデメリットと対策

リモートワークのデメリット

リモートワークでデメリットになりうるポイントを、2020年の東京商工会議所のアンケート調査をもとに詳しく説明します。

労働環境の構築が難しい

労働環境の構築はリモートワークの大きな課題の1つといえます。東京商工会議所の調査では、半数以上の企業が「ネットワーク環境やPC・スマホなどの機器の確保が難しい」と回答しています。

リモートワークを実現するには、インターネット回線や業務用のパソコン・スマートフォンを用意しなくてはいけません。かといって、私物を利用すると個人の就労環境に差が生じてしまうのも問題です。

また、作業環境の面においても個々で違うため、生産性を確保できるのか疑問が残ります。たとえばいくら自宅とはいえ、長時間の作業に耐えられるデスクやチェアがないと、肩こりや腰痛など従業員の健康に悪影響が出る恐れがあるでしょう。そのため、集中できる環境づくりも重要といえます。

【対策1】必要な機器を従業員に貸与する

リモートワークをするのに必要な機器類を従業員に貸与します。たとえば以下のものが考えられます。

  • パソコン
  • マウス・キーボード
  • モニター
  • 各種外部機器(外付けHDD、ヘッドセットなど)

従業員が自宅で使っているもので対応できればいいですが、人によっては古いモデルのものしか持っていないこともあります。そのような場合は企業から業務用PCを貸与してあげましょう。

また、自社の在庫ですべてを賄いきれない可能性もあります。すべて新しく購入すると初期費用がかさむため、リースやレンタルも検討してみてください。

関連記事:リースとレンタルの違いとは?メリット・デメリットも紹介

【対策2】ネットワーク環境を整備する

回線種類

月額費用

メリット

デメリット

光回線

3,000~

6,000円

・データ通信が使い放題

・通信が高速かつ安定

・複数デバイスを

 同時接続可能

・回線工事が必要

・開通に時間が

 かかることがある

・回線工事が

 できない場所がある

モバイルWi-Fi

3,000~

5,000円

・回線工事が不要

・外出先でも利用可能

・比較的安価

・データ通信に制限がある

 サービスが多い

・場所によって通信が

 安定しにくい

・都度ルーターの充電が

 必要

ホームWi-Fi

4,000~

5,000円

・回線工事が不要

・データ通信無制限の

 サービスがある

・屋外で使えるわけではない

・通信が安定しにくい

ネットワーク環境はリモートワークに必要不可欠。リモートワークで利用できるネットワークには上記表の3つがあります。

在宅勤務なら光回線かホームWi-Fiが候補に挙がります。モバイルワークであればモバイルWi-Fiが適しているでしょう。サテライトオフィスやワーケーションの場合は、施設にWi-Fi環境が整っているケースが多いため、あえて用意する必要はありません。

ネットワーク環境の構築費用は、全額会社が負担するケースもあれば、業務とプライベートの区別が難しい場合は一部会社が負担するケースもあります。

また、リモートワークではセキュリティ対策として、VPN利用の検討をおすすめします。VPNはインターネット通信を外部の攻撃から守る通信方式のこと。リモートワークが広まってからサイバー攻撃の被害件数も右肩上がりに増加しており、自社の情報資産を守るためにもセキュリティ対策はしっかりしておきたいところです。

関連記事:【簡単】VPNとは?仕組みや種類を初心者向けにわかりやすく解説!

社内のコミュニケーションが不足しやすい

同じ空間で作業をしないリモートワークは、社内でのコミュニケーションが不足しがち。直接顔をあわせて会話をしないと、何気なく生じるコミュニケーションでの情報共有が激減してしまうためです。

実際、東京商工会議所の調査でも、55.5%の企業が「社内コミュニケーションで問題が生じた」と回答しています。

また、極端に人と接する機会が減ると、孤独耐性のない人はメンタルを病んでしまうケースがあります。退職の原因になりかねないため、リモートワークをしている従業員のメンタルケアはこまめに実施したほうがいいでしょう。面談や雑談で、不満や不安を聞いてあげるなどすると効果的です。

【対策】Web会議ツール・ビジネスチャットツールの導入

Web会議ツールやビジネスチャットツールを使って、気軽にコミュニケーションを取れる環境を構築しましょう。

Slack

画像引用:Slack

従来のオンラインコミュニケーションで利用されてきたメールでは、定型的なやりとりが多いだけでなく、過去の履歴を追うのも一苦労。上画像のようなビジネスチャットツールは、メールの作法が不要なため、よりくだけたコミュニケーションができ業務効率化も期待できます。

Zoom

画像引用:Zoom

それだけでなく、Web会議ツールならテキストコミュニケーションでは伝わりにくい相手の表情やリアクションも伝わります。孤独感の解消にも役立つでしょう。

労務管理・マネジメントが難しい

リモートワークでは、従業員の勤務態度や状況が見えにくいため、労務管理やマネジメントが難しくなる恐れもあります。東京商工会議所の調査を見ると、54.7%の企業が「労務管理・マネジメントで問題が生じた」と回答しています。

とくに勤務時間とプライベートの境界線があいまいになりやすく、メリハリがつかず長時間労働になってしまうことも。従業員がどのような状況なのか、業務に問題を抱えているのか、把握しにくいのもデメリットの1つです。

また、オフィスワークのように上司が従業員の状況を観察し、適切なフォローを入れるのが難しくなります。気づかないうちに、従業員の健康状態や精神状態に問題が起こる危険性もあります。

【対策】勤怠管理ツール・タスク管理ツールの導入

マネーフォワード クラウド勤怠

画像引用:マネーフォワード クラウド勤怠

上画像のように勤怠管理ツールは、従業員の出勤退勤時間だけでなく、残業・休日出勤も容易に把握可能。また、有給休暇の申請や給与計算もオンライン上で完結するため、労務管理の効率化が期待できます。

Backlog

画像引用:Backlog

またタスク管理ツールは、個々の従業員のタスクの進捗が視覚的に把握できるだけでなく、部門やカテゴリー単位でのタスク管理も可能。リモートワークでチーム全体を的確に把握し、マネジメントするのに適しています。

関連記事:【労務担当必読】勤怠管理システム比較16選|比較すべきポイントも解説

関連記事:プロジェクト管理ツール比較12選!導入効果・ツール比較のポイントも解説

情報セキュリティ体制の整備が必要

オフィスで作業するのに比べると、リモートワークで一定のセキュリティレベルを確保するのは難易度がかなり高くなります。なぜなら、会社ではオフィス内部のネットワークやデバイスだけを守ればよいのに対し、リモートワークではあらゆる場所でネットワーク環境やデバイスを守らなくてはいけないから。

実際に、東京商工会議所の調査では、50.9%の企業が「情報セキュリティ体制整備で問題が生じた」と回答しています。

たとえば、従業員がカフェで公共Wi-Fiを使ってインターネットにつなげれば、セキュリティリスクは高まります。セキュリティ対策が施されていない、私物のデバイスで業務アプリケーションにアクセスするのも危険です。

ほかにも、出先でデバイスを紛失または盗難されるリスクもあるでしょう。このように、状況に応じたセキュリティ対策を取らなければ、大切な情報資産を保護するのは難しいといえます。

【対策1】リモートワークに適したルールを作る

リモートワークを導入すると、通常のオフィスとは異なる場所、異なる環境で業務を行うことになります。つまり、従来のルールでは機密データを保護できない状況が生まれるということ。インターネットに接続時はVPN接続を義務づける、業務端末には指定のセキュリティ対策ツールをインストールするなど、個々の状況に合わせたルールづくりが重要になります。

またルールを作るだけでなく、従業員もルールを遵守するように意識づけを徹底しましょう。自宅やカフェなど、場所や状況に合わせたセキュリティ対策マニュアルを策定するのも効果的です。

【対策2】従業員のセキュリティリテラシーを高める

従業員のセキュリティリテラシーを高めることは、一般的なセキュリティ対策でも重要とされるポイント。従業員にセキュリティリテラシーがないと、いくらセキュリティ対策ツールやVPNで防御しても意味がありません。

セキュリティリテラシーとは以下のようなものです。

  • 不審なメールは開かない
  • 添付ファイルやURLリンクを促すメールは警戒する
  • パソコンを開いたまま離席しない
  • 誰でも利用できる公共Wi-Fiには接続しない

こういった基本的な対策を従業員が個々で徹底できないと、リモートワークのセキュリティリスクは増大するばかりでしょう。

【対策3】セキュリティ対策ツールを導入する

セキュリティ対策ツールを導入すれば、予期せぬサイバー攻撃に対抗できます。

従業員のセキュリティリテラシーだけでは情報資産を守ることはできません。なぜなら、ハッカーは常に新しい手段やマルウェアを考え出して攻撃してくるから。人がいくら気をつけていても「うっかり」は起こります。従業員の人数が多ければ多いほど、誰かが「うっかり」してしまえばマルウェアに感染してしまうのです。

そのため、セキュリティ対策ツールを導入し、システム的にも端末を保護することをおすすめします。

書類への押印対応に時間がかかる

リモートワークを導入した結果、契約書や決済書などの印鑑を押す業務で時間がかかりすぎる可能性があります。ペーパーレス化が進んでいない企業では、押印のためだけに出社するケースもあるほど。紙ベースでの仕事が多い企業ではリモートワークを導入することで業務効率が下がる可能性があるのです。

とくに、契約書はスピードが勝負をわけることもあります。時間がかかりすぎている間に顧客の気が変わってしまっては、ビジネスチャンスを失いかねません。

【対策】電子契約システムの導入

みんなの電子署名

画像引用:みんなの電子署名

電子契約システムとは、契約をオンライン上で完結できるサービスのこと。電子契約書に契約者が電子署名をすることで契約が締結されます。このため、リモートワークでも出社が必要だった契約業務をオンライン上で締結できるようになります。

関連記事:電子契約システムとは?効力を担保する仕組み・機能や導入メリット・注意点を解説!

リモートワークのメリット・効果

リモートワークのメリット・効果

ここまでデメリットと対策を紹介してきましたが、冒頭で述べたようにリモートワークに踏み切る企業が多いのは、デメリットよりもメリットが大きいと判断する企業が多いから。具体的にリモートワークでどんなメリットが得られるのか、こちらも2020年の東京商工会議所のアンケート調査をもとに説明します。

働き方改革が進んだ

「働き方改革」とは、従業員の個々の事情にあわせた、柔軟で多様な働き方を実現するための取り組みのこと。東京商工会議所の調査によると、リモートワークを導入した約半数の企業が「働き方改革が進んだ」と回答しています。

リモートワークは、従来のオフィスワークと異なり、働く場所と時間に制限されない働き方を実現可能です。そのため、従業員はライフスタイルが変化しても柔軟に対応しながら仕事を続けられるのが強み。たとえば、子育てや介護で多くの家事が求められる人や、なんらかの理由で出社が難しくなってしまった人も仕事とプライベートを両立できるでしょう。

業務プロセスの見直しができた

リモートワークを導入で、業務プロセスの見直しができるのもメリットの1つでしょう。東京商工会議所の調査では、42.3%の企業が「業務プロセスの見直しができた」と回答しています。

とくに、従来型の企業では書類の回覧や各種申請、稟議など、会社にいることが前提の業務プロセスが採用されていました。しかし、リモートワークでは、紙書類を手渡しして仕事をすることは困難。書類に確認のハンコを押すためだけに出社しなくてはいけないのでは非効率です。

そのため、リモートワークを導入すると、必然的に紙書類をデジタル化して業務プロセスを見直すことになります。ワークフローを自動化するのであればワークフローシステムの導入も検討してみてください。

関連記事:ワークフローシステム比較企業規模ごと22選!比較ポイント紹介

コスト削減ができた    

リモートワークでは、会社通勤が減るため交通費を削減可能。さらに、リモートワークの比率が高い会社では、本社機能のみを残して業務用のオフィスを縮小するところも出てきています。そのためオフィス賃料や光熱費、維持管理費などの削減も期待できるでしょう。紙書類をデジタル化してペーパーレス化に成功すれば、印刷費や紙代の節約にもなります。

東京商工会議所の調査結果を見てみると、14.3%の企業が「コスト削減ができた」と回答しています。

リモートワークは導入時に初期費用がかかることから慎重になる企業も少なくありません。しかし本格的にリモートワークを導入し、オフィスの縮小やペーパーレス化に成功すれば、長期的にコストを削減できます。

リモートワーク導入の成功事例

最後に、2022年12月に日本テレワーク協会で発表された「第23回テレワーク推進賞」を受賞した企業の事例を3つ紹介します。

株式会社パソナグループ

株式会社パソナグループは、早くからリモートワークを本格的に導入し、実施率は全体の72%を誇る企業です。

同社では2007年4月からリモートワークを導入し、自宅近隣オフィスや在宅での勤務が可能となっています。また、グループ拠点を活用したワーケーションにも対応しており、従業員が自分の好きな働き方ができる環境を実現しています。

また、業務を自動化するRPA(ロボティックプロセスオートメーション)を計7部門で導入し、勤務時間を年間7,370時間以上削減することに成功。売上拡大を後押ししています。さらに、同社は6年連続「健康経営度調査ホワイト500」企業に認定されています。

参考:一般社団法人日本テレワーク協会

富士通株式会社

富士通株式会社は、2020年7月に「Work Life Shift」という時間と場所にとらわれない働き方を提唱。2021年10月には、真のHybrid Workの実現とLifeのさらなる充実を目指し「Work Life Shift 2.0」を発表しました。

「Work Life Shift 2.0」は、リモートワークを活用しながら企業と社員が成長するための取り組みで、DX企業として働き方を進化させることをコンセプトにしています。

結果として、通勤時間を月平均で約30時間削減、約1,300人の単身赴任解消、約400人の家庭事情に配慮した遠隔勤務を実現。さらに、平均睡眠時間は約20分増加したうえ、40%の従業員が「生産性が上がった」と回答しているとのこと。数字としても結果が出ており、生産性の向上も実感できているのは注目に値します。

参考:一般社団法人日本テレワーク協会

フジ住宅株式会社

フジ住宅株式会社は、住宅業界の中でも先進的なテレワーク実施企業として注目されています。

同社では、2017年7月からリモートワークのトライアルを開始。2018年1月から本格的に導入しています。リモートワークの実施率は90%にも達しており、ほぼ定着しているといっていい状況までテレワークが普及しています。

また、会議にはWeb会議システムを積極的に活用、時間外労働時間を3年で約3割削減するなど、大きな成果を挙げています。

参考:一般社団法人日本テレワーク協会

リモートワークのデメリットや対策を紹介しました

本記事では、リモートワークのデメリットや対策を中心に事例やメリットを紹介しました。

リモートワークはデメリットもありますが、しっかり対策すればコスト削減や業務効率アップ、さらに従業員の多様な働き方にも対応できます。リモートワークの導入を検討しているのであれば、ぜひ本記事の対策を参考にしてみてください。