ビジネスフォンの価格相場を解説!費用を抑える方法も紹介
オフィスの開設やOA機器の買い替えにあわせて、ビジネスフォンを新調したい企業は多いかと思います。しかし、どのくらいお金がかかるか分からず、購入をためらう企業も少なくありません。
本記事では、ビジネスフォンの価格相場と費用を抑えるコツ、業者選びのポイントについて紹介します。
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ビジネスフォンの価格相場
ビジネスフォンを導入する際は電話機、主装置、工事などに費用がかかり、新品1台当たりの導入に12万円~55万円かかります。具体的な相場の内訳は以下の通りです。
ビジネスフォン総額相場 (新品1台当たり) |
12万円~55万円 |
電話機(1台当たり) |
1.5万円~5万円 |
主装置(PBX) |
20万円~50万円 |
工事費(1台当たり) |
2万円~4万円 |
代表的なメーカーと機種の相場(3台導入時)は以下の通りです。
メーカー |
機種 |
価格(※) |
NTT |
αA1 Standard |
40万円~ |
αNXII type M |
24万円~ |
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αZX |
25万円~ |
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NEC |
Aspire UX |
34.5万円~ |
Aspire X DT300 |
19.9万円~ |
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SAXA |
PLATIAⅢ |
25万円~ |
PLATIAⅡV |
32.8万円~ |
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PLATIAⅡ Standard |
32.8万円~ |
(※)税込み価格は要問い合せ
続いて各機器と工事費の相場について解説します。
電話機
利用形態 |
相場 |
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購入 |
電話機(コード有り) |
1.5~5万円/台 |
電話機(コードレス) |
3~10万円/台 |
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リース(1台当たり) |
1,200円~1,700円/月 |
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レンタル(1台当たり) |
3,500円~4,000円/月 |
電話機の相場は、新品だと1台当たり1.5万円~5万程度で、同時通話できる本数が多いほど高くなるのが特徴です。また、受話器と本体を無線でつなぐコードレスタイプだと、2倍ほど相場が上がります。
後ほど詳しく解説しますが、ビジネスフォンは購入以外にもレンタルやリースなど、利用形態によっても価格相場が異なります。
主装置(PBX)
主装置とは、外線と内線を振り分ける装置のことでPBXと呼ばれることもあります。主な機能は以下の通りです。
- 留守番電話:通話相手のメッセージを録音・再生
- 転送電話:スマートフォン・携帯電話・別の支店などに転送
- 自動音声:営業時間の終了や留守電案内の音声などを設定可能
- 保留応答:通話相手を待たせる際にメロディを流す機能
- モニター機能:通話内容を別の電話機で聴ける機能
- 共通電話帳:複数の電話帳リストを一括登録
1台当たりの価格相場は20万円~50万円で、導入費用の半分以上を占めています。PBXは接続できる外線数と内線数に限りがあり、上限本数が多いほど値段も高くなります。
IP-PBX
これまでPBXは電話回線にのみ接続可能でしたが、近年ではIP-PBXと呼ばれるネットワーク回線と接続できるPBXも登場しています。LANケーブルを使用するため工事の手間を抑えられることや、拠点ごとに主装置を設置しなくてよい点で重宝する企業が増えています。
工事費
オフィスでビジネスフォンを使う際には、機器の搬入や配線、通話テストなどの工事をしなければいけません。1台当たりの工事費の相場と内訳は以下の通りです。
工事費の総額 |
2~4万円/台 |
機器の搬入 |
5,000~8,000円/台 |
配線 |
2,000~3,000円/台 |
作業員の人件費 |
1万円/人 |
1台当たり2~4万円ほどかかり、導入台数が増えたり多くの人手が必要であったりすると、その分工事費も上がります。
導入規模別のビジネスフォン価格相場
一口にビジネスフォンといっても、導入台数や業態によって費用相場は異なります。ここでは、導入規模別にビジネスフォンの価格相場を紹介します。自社の規模と照らし合わせながら読み進めてください。
小規模オフィス(0~30人)
個人事業主や十数人程度のベンチャーなら、営業や受付など含めて5~10台程度が目安で、新品だと60万円~550万円ほどかかります。
ただし数人程度のオフィスや店舗であればモニタリングや自動音声などの機能が不要なケースもあるので、さらに安く抑えられる可能性があります。
ビジネスフォンにあまり初期費用をかけられない企業は、後に紹介するレンタルやリースを活用しましょう。
中小企業(30人~)
企業規模が30人以上だと10~15台が目安で、新品なら120万円~825万円と費用の幅が広くなります。
ただし、業態によっては相場の範囲に収まらないこともあります。例えば電話が営業スタッフ数人に集中するのであれば、台数は3台程度で事足りるかもしれません。事務所がワンフロアであれば、内線電話は必要ない可能性があります。
一方、営業メインの会社であれば、スタッフ全員に電話を割り当てた方がよいケースもあるでしょう。その場合、新品だと総額で1,000万円を超える可能性もあります。
中堅企業~大企業(100人~)
導入規模が100人以上の中小企業や大企業のオフィスだと、80台~100台以上が想定され、すべて新品なら最低でも総額960万円以上はかかります。
ただし前章と同じく業種によって費用は変わります。電話が一部の部署にしかかかってこない場合は40台程度で済むかもしれません。
一方、コールセンターのような電話でのやり取りがメインの部署だと、1人1台割り当てて機能も充実させる必要があります。
ビジネスフォンの価格算出方法
利用形態 |
価格の算出方法 |
購入 |
電話機+PBX+工事費 |
レンタルorリース |
(電話機+PBX+工事費)×利用料率 |
ビジネスフォンの価格は、電話機や主装置などの機器と工事費で決まります。多くのメーカー、販売代理店の公式サイトでは電話機とPBXと合算した価格を提示しており、接続本数や導入台数にあわせて複数のプランを選べるのが一般的です。
画像:OFFICE110を元に作成
またリースやレンタルの場合、ビジネスフォンの総額に利用料率を上乗せした金額を月割りにして費用を支払います。一般的には契約期間が長いほど利用料率は低くなります。
ビジネスフォンの価格が高い理由2つ
前章まで読んで、ビジネスフォンの高さに驚いた人もいるかもしれません。ここではビジネスフォンが高価な理由を2つ紹介します。家庭用電話機とは異なる背景があるので、じっくり読んでみてください。
主装置が必要なため
ビジネスフォンの要ともいえる主装置は総費用の約半分を占めます。外線の振り分けや同時通話機能など、家庭では使わない機能が必要になるからです。
また前述の通り、外線・内線の本数を増やせばその分装置の単価も高くなるため、家庭用電話機より高額になります。
工事に手間がかかるため
家庭用電話機だと半日足らずで設置が終わることも珍しくありませんが、ビジネスフォンだと工事に日数を要します。10台程度の小規模な導入でも、オフィスの構造によっては下調べに時間がかかったり配線が複雑になったりするケースは珍しくありません。
また、オフィスの所在地が不便なところだと作業員の人件費が増えたり、工期が伸びる可能性もあります。宅配に例えると、都会より離島の方が送料が高く到着が遅いイメージです。
筆者のオフィスでもビジネスフォンの導入工事がありましたが、郊外に事務所があったので都市部のオフィスより割高でした。
ビジネスフォンの価格を安く抑えるポイント10個
中小企業は予算が限られているため、できることならビジネスフォンの導入にお金はかけたくないですよね。ここではビジネスフォンの費用を安く抑えるコツを紹介します。
- 導入目的を明らかにする
- 中古品を利用する
- リース契約を結ぶ
- レンタルを利用する
- 業者は慎重に選ぶ
- 複数社に見積りを出す
- 多めに電話機を導入する
- クラウドPBXを利用する
- 保証内容を確認する
- 導入後の通信費も確認する
場合によっては新品の費用相場より1/3程度まで抑えることも可能です。
導入目的を明らかにする
まず、なぜビジネスフォンが必要なのか理由を再確認しましょう。
- コールセンターを開設するために電話が必要
- 新しい事務所と支社とのコミュニケーションで使用
- 工場現場で緊急対応用のコミュニケーションツールが必要
導入目的が不明瞭だと予算を無駄にしかねません。例えば、緊急時にしか電話がかかってこないのに、1人1台電話を割り当てるのは非効率です。デスクが近いなら2~3人でシェアすればいいで
しょう。
また人数が少ないからと台数を絞ると、フロアが違うと呼び出しなどの二度手間が発生します。ワンフロアでコミュニケーションが取れない場合は、人数分ビジネスフォンを用意したほうが得策かもしれません。
このように、ビジネスフォンを使う目的と環境をリアルに想定することが大切です。
中古品を利用する
特別なこだわりが無ければ、電話機は中古品を検討しましょう。市場には中古品が豊富に出回っており、高品質な商品も多いです。新品より1/3~1/5程度の価格で済むため、トータルの導入費用を半分くらいに抑えられます。
また、販売代理店によっては中古品の無料キャンペーンを実施していることもあります。
画像引用:ビジフォンドットコム
デメリットは、メーカー保証のない商品があること。壊れたときは、買い替えるか有償の修理が必要になる可能性があります。
また、1度使われた電話なので、少なからず傷んでいるものもあります。そのため中古品は「安く購入できるなら見た目は気にしない」という企業におすすめです。
リース契約を結ぶ
リースとはリース会社が商品を代理で購入し、利用者に貸出するサービスのことです。ローンと違い契約終了後の所有権がリース会社に移るため、次章で紹介するレンタルに近いサービスです。
リースのメリットは初期コストが安いこと。相場は1台当たり1,200円~1,700円/月で、導入台数が多く契約期間が長いほど月々の負担が少なくなります。
デメリットは、一括購入より総額の負担が大きくなることです。加えて途中解約すると違約金が発生するため、使用期間の見通しが立っていない企業にはあまり適していません。またリースは住宅ローンと同じく信用審査を受ける必要があります。財務諸表や事業計画書など、審査を有利に進めるための準備をしなければいけないので、導入までの負担が大きくなります。
そのためリースは「使用期間がある程度固まっている」「審査の準備をする余裕がある」という企業におすすめです。
レンタルを利用する
レンタルも、ビジネスフォンを安く導入する上でおすすめの手段で、相場は新品なら3,500円~4,000円/月程度です。第三者からビジネスフォンを借りるという点ではリースと同じですが、以下の点で異なります。
レンタルだと、数日〜数ヶ月程度の短期間でも利用できるプランが豊富です。途中で不要になっても違約金が発生しないため、使用期間の見通しが立っていない企業でも安心です。また信用審査が無いため「創業年数が短い」「取引実績が不十分」という企業も気軽に利用できます。
関連記事:リースとレンタルの違いとは?メリット・デメリットも紹介
業者は慎重に選ぶ
業者選びも費用を安く抑える上で重要です。販売代理店や施工会社はたくさんあるため、十分に検討しないまま業者を選ぶとトラブルを招くかもしれません。業者を選ぶポイントは以下の通りです。
取引実績は豊富化
取引実績があればトラブルのリスクは低くなります。特に似たような業種への納品実績や大手企業、官公庁との取引実績があれば安心です。
業績は安定しているか
業界にもよりますが、ビジネスフォンは数年~10年と長期で利用するケースが一般的です。業者や販売代理店の業績が危うければ、いざサポートを受けたいと思ったころには倒産しているかもしれません。創業から間もない会社が悪いわけではないですが、業績は重要な指標です。
担当者との相性はよいか
どれだけ評判がよい業者でも、担当者の質が低いとトラブルになる可能性があります。
上記の点をチェックして、信頼できる担当者か見極めましょう。
関連記事:システム開発会社の選び方7ポイント!依頼の準備と注意点も解説
複数社に見積りを出す
同じスペックや導入台数でも、業者によって費用は異なります。3~4社ほど見積りを出して納得できる業者と契約しましょう。
見積りを出す際の注意点は以下の通りです。
- 不明点は必ず質問する
- 見積もり金額の安さだけで選ばない
当然ですが、見積りで不明な点があれば必ず質問しましょう。例えば相場より工事費が高いのであればそれなりの理由があるはずです。工期が長ければ関係社員に理由を説明するために「なぜ導入に時間を要するのか」を知る必要があります。
また金額の安さだけで業者を選ぶのもNG。質の悪いスタッフに工事を任せてトラブルになるかもしれないからです。業者の見積り額が適正かどうかは、相場と照らしあわせて判断してください。
見積りに便利な書類
見積りをスムーズに進めるためにも、以下の書類を準備しましょう。
- 電話料金の明細
- 物件の見取り図
電話料金の明細があると、電話番号の数とチャネルの数を把握できるため、導入環境に適したPBXを選べます。
また工事をスムーズに行うためにも、物件の見取り図があると便利です。必要な人員や工事計画の策定などで正確な金額を算出できるからです。予算と工期に余裕があるのであれば、業者にオフィスの下見を促しましょう。
見積りについて詳しく知りたい企業は、以下の記事を読んでください。システム開発の記事ですが、見積り依頼の注意点など参考にできるコンテンツを用意しています。
関連記事:システム開発の見積もりの内訳や見積書の見方をプロが解説!注意点も紹介
【サンプル付き】
多めに電話機を導入する
予定台数より電話機を多めに導入すると、トータルコストが安くなる可能性があります。例えばリースの場合、導入台数が多いほど月々の支払いが安くなります。中古品だと、一定台数以上購入したら割引になる業者も少なくありません。
最初に数を絞り過ぎると追加工事の負担の方が大きくなります。将来増設の見込みがあるなら、予定より多めに電話機を購入しましょう。
クラウドPBXを利用する
クラウドPBXとは、インターネット回線を使ってビジネスフォンをつなぐシステムのことです。PCやタブレット端末につなぐことも可能で、スマホを内線として利用することもできます。
従来のビジネスフォンと違い主装置を設置する必要が無いため、初期コストを1/2~1/5程度に抑えることが可能です。また、離れた拠点同士を内線扱いで通話できるため、通信費を節約できるのも魅力です。
ただし通話品質が安定しなかったり、110番や119番などの緊急電話にかけられなかったりなどのデメリットがあるので、注意しましょう。
保証内容を確認する
新品のビジネスフォンなら1年ほど保証期間があるので、保証内容をチェックしましょう。
- 修理・交換
- 災害サポート
- 害虫被害
- 盗難被害
新品だと契約に組み込まれているものもあれば、料金を上乗せして契約しなければいけないこともあります。また、前述の通り中古品だと保証がない(もしくは有償)のケースが多いので、保証内容と導入費用を総合的に加味してビジネスフォンを選びましょう。
筆者の場合、勤め先(インフラ工場)は常に水害や害虫のリスクがあったので、災害サポートの充実度を重視していました。
導入後の通信費も確認する
導入したらビジネスフォンの利用が無料になるわけではなく、通信費がかかります。2023年7月現在、NTTの国内電話料金(県外へ通話)は以下の通りです。
昼間 |
夜間 |
深夜・早朝 |
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隣接~20km |
22円/90秒(税込) |
22円/2分(税込) |
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30km~60km |
44円/45秒(税込) |
33円/1分(税込) |
33円/75秒(税込) |
100km~ |
88円/22.5秒(税込) |
77円/26秒(税込) |
44円/45秒(税込) |
距離が遠く日中に通話すると単価が高くなります。通信品質にこだわりが無ければ、クラウドPBXなどで通信費を節約することも視野に入れましょう。
電話回線とセットで契約するのがおすすめ
画像引用:OFFICE110
業者によっては電話回線とセットで契約すると、新品を安く購入できることがあります。数日で番号を取得してくれるケースもあるので、電話回線を新設したい企業は見積り時に問い合わせてみま
しょう。
ビジネスフォンの価格相場と安く抑えるコツについて紹介しました
本記事では、ビジネスフォンの価格相場と費用を安く抑えるコツについて紹介しました。まとめは以下の通りです。
- 新品のビジネスフォンの価格相場は1台当たり12万円~55万円
- 導入規模や業態によって費用は大きく変わる
- ビジネスフォンの導入費用を安く抑えるためにも使用目的を明らかにすること
- 3~4社ほど相見積もりを出して納得できる業者を選ぶ
ビジネスフォンには多くの機種や取扱い業者があり、価格も幅広いのが特徴です。どれも同じように見えるからといって適当に業者を選ぶと、予算を無駄にしかねません。
本記事を参考に、自社に適したビジネスフォンを利用してください。