ファイルサーバーとは?NASとの違い、メリットや選び方を解説

ファイルサーバーとは?NASとの違い、メリットや選び方を解説

「ファイルサーバーを導入したいけど、どれを選べばいいかわからない」

「機密情報も扱うけど、本当に安全なシステムなの?」

この記事ではファイルサーバーの導入を検討中の方に向けて、種類や特徴、選ぶポイントなどを解説しています。自社に最適なファイルサーバーを選ぶヒントとなるでしょう。

目次
  1. 1. ファイルサーバーとは
    1. 1-1. ファイルサーバーはファイル共有機能に特化したサーバー
  2. 2. ファイルサーバーの二つの種類
  3. 3. ファイルサーバーとNASの違い
  4. 4. ファイルサーバーと共有フォルダの違い
  5. 5. ファイルサーバーのメリット
    1. 5-1. ファイルの共有が簡単にできる
    2. 5-2. アクセス権限を自由に付けられる
    3. 5-3. ストレージ容量の拡張も可能
    4. 5-4. 冗長化が可能
    5. 5-5. セキュリティを細かく設定できる
  6. 6. ファイルサーバーのデメリット
    1. 6-1. 導入に手間がかかる
    2. 6-2. ランニングコストがかかる
  7. 7. ファイルサーバーを導入すべき企業
    1. 7-1. OSのファイル共有機能を利用している
    2. 7-2. 古いファイル共有ソフトを利用している
    3. 7-3. 場所を問わずデータ共有したい
  8. 8. ファイルサーバーを選ぶポイント
    1. 8-1. 導入する目的を明確化する
    2. 8-2. 利用シーン、利用ユーザーを明確化する
    3. 8-3. 対象となるデータやデータ量を明確化する
    4. 8-4. データの特性を意識する
    5. 8-5. セキュリティポリシーとの整合性を確認する
    6. 8-6. 生産性を損なわないよう注意する
    7. 8-7. 費用対効果などをきちんと算出する
  9. 9. ファイルサーバーを構築する方法
    1. 9-1. オンプレミス型の場合
    2. 9-2. クラウド型の場合
  10. 10. おすすめのクラウド型ファイルサーバー5選
    1. 10-1. box over VPN (NTTコミュニケーションズ株式会社)
    2. 10-2. Fireforce (ファイルフォース株式会社)
    3. 10-3. DropBox Business (DropBox社)
    4. 10-4. 使えるファイル箱 (使えるねっと株式会社)
    5. 10-5. セキュアSAMBA (Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社)
  11. 11. ファイルサーバーについて解説しました

ファイルサーバーとは

ファイルサーバーとは特定の機器の名称ではなく、ネットワークを経由してデータファイルを管理する「システム全般」を指します。社内データの保存や共有、バックアップといったファイル管理を目的に利用される仕組みです。

ファイルサーバーには自社構築型やクラウド型などさまざまな種類があります。それぞれの特性を理解し、自社の利用目的や規模に合ったものを選びましょう。

ファイルサーバーはファイル共有機能に特化したサーバー

ファイルサーバーはネットワークを経由して、複数のユーザーとファイルを共有できるのが特徴です。ファイルを共有すると以下のようなメリットがあります。

  • 複数メンバーとの共同作業をスムーズに行える
  • 個人端末だけに保存するよりもデータ損失のリスクが下がる
  • USBメモリやメール添付と比べデータの送受信の手間や時間を節約できる
  • 個人間でのデータのやり取りが減り情報漏洩を防止できる

ファイルサーバーの二つの種類

ファイルサーバーの二つの種類

ファイルサーバーの構築方法には「オンプレミス型」と「クラウド型」の大きく2種類があります。両者の違いはデータの「保管場所」です。

オンプレミス(on-premise)型のファイルサーバーは、社内に設置したサーバー(データの保管庫のようなもの)にデータを保管します。「premise」とは「構内」「店内」を意味し、自社で運用するシステムといった意味合いです。サーバーを設置してファイルサーバーの仕組みを構築し、社内LANを通じて各端末と連携します。

一方、クラウド型はインターネット上のサーバー、いわゆるクラウドサーバー上にデータを保管する仕組みです。オンプレミス型のサーバー機のような物理的な機器は必要とせず、クラウドサービスの事業者と契約を交わすだけで手軽に導入できます。

ファイルサーバーとNASの違い

 

ファイルサーバー

NAS

アクセス可能な人数

複数人でアクセス可能

複数人でアクセス可能

アクセス制限

(フォルダ別ではなく)ファイル別に

設定できるなど細やかな

アクセス制限の設定が可能

アクセス制限の設定が可能

導入コスト

導入・運用に費用と手間がかかる

(サーバー機の購入、社内環境の整備、

ソフトウェアのライセンス費用、

初期設定など)

NAS機器本体を購入して

ネットワークに接続すれば

すぐに利用できる

運用コスト

管理・運用には専門技術が必要であり、

人件費や保守費用など

さまざまなコストがかかる

運用負担が小さく

人件費なども安く抑えられる

セキュリティ対策

必要なレベルに応じた

セキュリティ対策が可能

各製品に備わっている

範囲内でしか設定できない

カスタマイズ性

カスタマイズ性の自由度が高く

機能の追加やアレンジも可能

各製品に備わっている

範囲内でしか設定できない

ファイルサーバーとNASは、ファイルの保存や共有ができる点は同じですが違いもあります。両者の違いを一言で表すと、NASは外付けハードディスクのような「機器」であり、ファイルサーバーはデータを保存・管理する「システム(仕組み)」であるという点です。

ファイルサーバーの導入にはコストと手間がかかります。サーバー本体の相場は10万円〜30万円ほど、さらにシステム構築や保守点検など多額のコストがかかるのがネックです。費用と手間がかかる反面、自社の特性に合わせて自由にカスタマイズできるのがメリットと言えます。

一方、NASは機器を購入してネットワークに接続するだけで手軽に導入でき、費用も安く抑えられます。しかし、必要な機能はあらかじめメーカーによって搭載されているため、その範囲内でしかカスタマイズできません

ファイルサーバーと共有フォルダの違い

ファイルサーバーと類似したものに「共有フォルダ」があります。

共有フォルダとは同じネットワーク上の複数の端末で、特定のフォルダを共有できる仕組みです。専用機器や複雑なシステム構築は不要なため、扱うデータが少ない企業ではファイルサーバーではなく、共有フォルダを利用してコストを抑えるケースも多いでしょう。

共有フォルダのデメリットは、「共有フォルダが保存されているパソコンに依存する」点です。共有フォルダが置かれている端末がオフラインになると、他の端末からは一切アクセスできなくなります。常に安定した環境でファイルを管理したいなら、ファイルサーバーの導入がおすすめです。

ファイルサーバーのメリット

ファイルサーバーには以下のようなメリットがあります。

  • ファイルの共有が簡単にできる
  • アクセス権限を自由に付けられる
  • ストレージ容量の拡張も可能
  • 冗長化が可能
  • セキュリティを細かく設定できる

ファイルサーバー最大のメリットは「カスタマイズ性の高さ」です。自社の特性に合わせて詳細な設定ができ、アクセス権限やセキュリティ対策なども柔軟に対応できます。

ファイルの共有が簡単にできる

ファイルサーバーを導入すれば、安全かつ簡単にファイルを共有できます。特にファイルの更新や共有が頻繁に発生する部署では、業務効率化に大いに役立つでしょう。

従来はデータを共有する際、USBメモリやメール添付などを用いて受け渡しするのが一般的でした。ファイルサーバーを活用すればそうした受け渡しが不要となります。

アクセス権限を自由に付けられる

ファイルサーバーでは、フォルダやファイルごとに「誰が・どのフォルダ(ファイル)で・何ができるか」といったアクセス権限を設定できます。こうしたアクセス権限によって細やかなユーザー管理ができるのもメリットです。

適切なアクセスコントロールはフォルダの誤操作や不要なデータの作成を防ぎ、不正アクセスのリスクを軽減します。必要なユーザーが必要なファイルにのみアクセスできる環境を作ることで、社内データを安全に保存・共有できるでしょう。

ストレージ容量の拡張も可能

ファイルサーバーはカスタマイズ性に優れ、ストレージ容量も必要に応じて増設できます。

データの保存先を検討する際、心配なのが「購入したサーバーが後に容量オーバーになってしまうこと」。その点、ファイルサーバーなら容量の増設が可能なので、必要に応じて拡張したり、自社の求めるスペックにカスタマイズできるのは大きな魅力と言えるでしょう。

冗長化が可能

冗長化とは、何らかの理由でデータが破損した時に備え、予備のサーバー機を用意しバックアップを取っておくことです。スペアがあればシステムの運用を継続でき、復旧も迅速に行えます。

災害やハードウェアの故障、外部からのサイバー攻撃など万が一の時に備え、オリジナルのサーバー機と同じサーバー機を用意してバックアップを同期しておきましょう。

セキュリティを細かく設定できる

セキュリティ対策も自社に合わせて柔軟に設定可能です。具体的には、ウイルス対策ソフトの導入やIDとパスワードによるアクセス制限、アクセスログの取得と監視などが挙げられます。

情報セキュリティ上の脅威は、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃だけにとどまりません。社内の悪意あるユーザーによる、情報の抜き取りや悪用といった「内部不正」の危険もあります。

そうした社内外からの脅威に対抗するには、ウイルス対策の追加やアクセス権限の設定、ファイル操作の監視といった詳細なセキュリティ対策が有効と言えるでしょう。

ファイルサーバーのデメリット

ファイルサーバーには多くのメリットがありますがデメリットもあります。主なデメリットは以下の2つです。

  • 導入に手間がかかる
  • ランニングコストがかかる

導入に手間がかかる

ファイルサーバーは自社で構築するため手間がかかります。

導入した際には以下のような初期設定が必要です。

  • 共有グループの作成
  • アクセス権限の設定
  • すべてのOS(※)に対応する環境設定

(※OS:オペレーティング・システム(Operating System)の略称で、パソコンやスマートフォンなどを簡単に操作できるようにするための土台となる基本ソフトウェアのこと。)

さらに、ファイルサーバーの導入には時間もかかります。特にオンプレミス型の場合、サーバー機を発注してから届くまで数週間以上かかることもあり、届いた後にも上記のシステム構築が必要です。ファイルサーバーの規模が大きければ、企画から稼働開始まで1ヶ月以上かかるケースもあります。

導入には手間と時間がかかるため、余裕を持ったスケジューリングが望ましいでしょう。

ランニングコストがかかる

高額なランニングコスト(運用保守費)がかかるのも、ファイルサーバーのデメリットです。

費用の相場はサーバー構築費用の10〜15%ほどで、例えば10万円で構築したファイルサーバーであれば月額1〜1.5万円程度が運用保守費用となります。

カスタマイズ性や拡張性に優れているのは大きなメリットですが、裏を返せばそれだけ多くの設定工数やメンテナンスが必要であるとも言えます。そのためには専門知識のある技術者を常駐させなければならないため、人件費がかさむでしょう。

サーバー管理に必要な予算について事前にしっかり把握しておくことが重要です。

ファイルサーバーを導入すべき企業

ファイルサーバーはファイルの管理や共有に有用ですが、自社に適していなければかえって業務効率が低下したり、不要なコストがかかったりする恐れがあります。

ファイルサーバーの導入がおすすめの企業には以下のような特徴があります。

  • OSのファイル共有機能を利用している
  • 古いファイル共有ソフトを利用している
  • 場所を問わずデータ共有したい

OSのファイル共有機能を利用している

OSのファイル共有機能を利用している企業は、自動バックアップ機能のあるファイルサーバーの導入がおすすめです。

OSのファイル共有機能だと、手動でバックアップを取る必要があり、手間も時間もかかります。

その点、クラウド型ファイルサーバーには自動バックアップ機能があるため、ファイルの共有機能を利用しつつ、クラウド上でバックアップも取れるため便利。ちなみにオンプレミス型の場合は、サーバーが破損した時に備えて別途バックアップを取るのが一般的です。

クラウド型を導入すれば手動での手間とバックアップ漏れの心配がなくなり、効率性と安全性が高まるでしょう。

古いファイル共有ソフトを利用している

古いファイル共有ソフトを利用している企業は、ファイルサーバーの導入によってセキュリティを強化できます。

古い共有ソフトはセキュリティ面において万全とは言えません。長期間アップデートが行われていないと、新しく登場したウイルスやサイバー攻撃に対抗できない可能性があるからです。

クラウド型のファイルサーバーを導入すると自動アップデートされるため、セキュリティ面も常に最新の状態となり安全と言えます。

一方、オンプレミス型は閉じた社内ネットワークで繋がっているため、外部からの不正アクセスの心配がなくさらに安全性が高まるでしょう。

場所を問わずデータ共有したい

近年では新たな働き方が普及し、リモートワーク(オフィス以外の場所で働くこと)を導入する企業も増加しつつあります。場所や時間を問わず、必要なデータにアクセスしたい企業はファイルサーバーの導入が有効です。

リモートワークにはクラウド型がおすすめです。クラウド型ならインターネット環境があればどこからでも接続可能ですが、オンプレミス型はサーバーが稼働していないとアクセスできないからです。サーバーのメンテナンスや設定の面においても、クラウド型の方が運用コストやメンテナンスの負担を抑えられます

ファイルサーバーを選ぶポイント

ファイルサーバーを選ぶ際に重要なのは「何のために導入するのか」という目的です。導入後の後悔をなくし、自社に最適なサーバーを選ぶため以下のポイントに着目しましょう。

導入する目的を明確化する

導入する機器やシステムを選ぶ際には、必ず利用目的を明確化しましょう。「なんとなく」で選んでしまうと必要な機能がなかったり、余分な機能があるせいでコスト高になる可能性があるからです。

まずは自社が抱えている課題を洗い出し、その解決のために必要な機能をリストアップしましょう。例えば、複数部署のさまざまな業務に対応したい大規模な組織であれば、カスタマイズ性や拡張性に優れたファイルサーバーが適しています。

利用目的をできるだけ具体的に描き、過不足のない機能やツールを選択しましょう。

利用シーン、利用ユーザーを明確化する

「誰が、どのような状況で、何に使うのか」といった利用シーンや利用ユーザーも明確にしておきましょう。ユーザーの人数やアクセスできる範囲、アクセス先での操作権限といったユーザー情報はアクセス権限の設定に必要だからです。

また、ファイルサーバーの利用シーンも重要な観点です。例えば複数拠点でのファイル共有がしたいなら、オンプレミス型よりもクラウド型の方がスムーズにデータを同期できるため適していると言えます。また、海外の取引先企業とファイル共有したい場合は、国内外問わず大規模ファイルのやり取りが可能であったり、幅広い言語に対応しているファイルサーバーを選びましょう。

ファイルサーバーを最大限に活用するためにも、利用シーンや利用ユーザーをあらかじめ明確化しておきましょう。

対象となるデータやデータ量を明確化する

ファイルサーバーの導入時には、対象となるデータやデータ量もチェックすべき項目です。社内データが将来的に増加する可能性があるなら、後々ストレージ容量の拡張が可能なクラウド型を選ぶと安心でしょう。

また、ファイルサーバーには「自動バックアップ機能」があります。大量のデータを扱う場合、手動でバックアップを行うと作業工数が多く、手間も時間もかかって大変です。

自社で扱うデータが膨大であるほど、ファイルサーバーの導入が業務効率化や時間の節約に有効と言えるでしょう。

データの特性を意識する

企業で扱うデータにはさまざまな種類があります。一般的な事務データや取引先と共有する契約文書、一部の社員だけが閲覧できる機密情報などがその一例です。

さらに、データには頻繁に利用される「ホットデータ」と、保存されたままあまり利用されない「コールドデータ」の2種類があります。

コールドデータが多い場合は「オブジェクトストレージ」と呼ばれる、大容量データを安価に保存するのに適したサーバーを利用すればコストを最適化できるでしょう。

自社データの特性を把握し、最適な管理ができるファイルサーバーを選びましょう。

セキュリティポリシーとの整合性を確認する

どのような機密レベルのファイルを扱うか、についても事前確認が必要です。

情報の機密レベルやサーバーへのアクセス範囲(社内からのみか、社外からもアクセスするのかなど)によって、必要なセキュリティ対策が変わってくるからです。

機密情報の漏洩やデータの損失は、企業の社会的信用や運営そのものに計り知れない損害をもたらします。自社の機密レベルに見合っているか必ずチェックしましょう。

生産性を損なわないよう注意する

システム導入の際には、ユーザーがストレスなく快適に使えるかといった「ユーザビリティ」の面も重要です。ファイルサーバーに限らず、ユーザーが使いにくいシステムであれば結局利用されなくなるケースも多いからです。

ユーザビリティは「操作しやすい」「スイッチの場所がわかりやすい」など、単なる使いやすさにとどまりません。「システムによって効果的・効率的に目的を達成できるか」という視点も重要です。

システムによって生産性を損なわないためにも、実際に利用するユーザーの意見をヒヤリングしつつ検討しましょう。

費用対効果などをきちんと算出する

新たなサービスやシステムを導入する際には、費用対効果(コストパフォーマンス)を考慮するのを忘れてはいけません。

ファイルサーバーも、サーバーの種類やサービス内容によって料金や機能はさまざまです。時間単位の従量課金制(サービスの利用量にしたがって請求金額が決まる料金制度)や、月額制のサービスもあります。システムに搭載している機能に加え、稼働率や導入・運用にかかる費用など費用対効果についてもしっかり検討しましょう。

ファイルサーバーを構築する方法

 

メリット

デメリット

費用

オンプレミス

(自社構築)型

・カスタマイズの

自由度が高い

・自社のニーズに合った

セキュリティ対策ができる

・設定・運用に専門知識の

ある技術者が必要

・リモート対応する場合は

VPNなどの仕組みが必要

初期費用と

ランニングコスト

がかかる

(サーバー機器の

購入・設置、

電気代、運用の

ための人件費など)

クラウド型

・テレワークとの

相性が良い

・導入が手軽で早い

・自社でサーバーを

設置・管理する

必要がない

・カスタマイズの

自由度が低い

・提供されている

サービスの範囲内でしか

セキュリティ対策ができない

初期費用や人件費は

抑えられるが

月額料金がかかる

(月3万円〜

10万円程度)

ファイルサーバを実際に構築する方法を、オンプレミス型・クラウド型それぞれで解説します。

オンプレミス型の場合

オンプレミス型の場合は、製品を選ぶことから始まります。

自社の目的や予算に合った製品を選び、以下の構築手順で導入します。

【オンプレミス型ファイルサーバーの構築手順】

  • サーバー機の設置場所を決める
  • サーバー機やソフトウェアを検討し購入する
  • 電源や予備電源を確保する
  • 導入後、アクセス権限やセキュリティ対策などの各種設定をする

オンプレミス型ファイルサーバーのメリットとデメリットは以下の通りです。

【オンプレミス型ファイルサーバーのメリット】

  • カスタマイズの自由度が高い
  • 自社のニーズに合ったセキュリティ対策ができる

【オンプレミス型ファイルサーバーのデメリット】

  • 詳細設定をするには専門知識のある技術者が必要
  • リモート対応などで社外からアクセスする場合はVPN接続の仕組みが必要

オンプレミス型はカスタマイズ性が高く、アクセス権限やセキュリティ対策などを柔軟に設定できるのがメリットです。その一方、サーバー機の購入や設置場所の確保が必須であり、初期費用やランニングコストが高額になるのがネックと言えます。リモート対応するには、安全性を高めるためVPN(※)などのセキュリティ対策も必要となるでしょう。

(※VPN…Virtual Private Network (仮想プライベートネットワーク)の略称。インターネットで安全に通信できるようにする仕組みのこと。

クラウド型の場合

クラウド型の構築に不可欠なのはインターネット環境です。専用機器は不要ですので、インターネットのプロバイダーとクラウドサーバーを提供する事業者選びから始めます。

【クラウド型ファイルサーバーの構築手順】

  • インターネット環境を整備する
  • オンライン(クラウド)サーバーを提供している業者を選定する
  • オンライン上で契約をかわし、アカウントを登録する

クラウド型ファイルサーバーのメリットとデメリットは以下の通りです。

【クラウド型ファイルサーバーのメリット】

  • テレワークとの相性が良い
  • 導入が手軽で早い
  • 自社でサーバーを管理する手間が省ける

【オンプレミス型ファイルサーバーのデメリット】

  • カスタマイズの自由度が低い
  • サービスの範囲内でしかセキュリティ対策ができない

クラウド型は導入が比較的簡単であり、サーバーのメンテナンスなども事業者側でしてもらえるため企業側の負担が少ないのがメリットです。その反面、決められたメニューの中から設定を行うため機能やセキュリティ対策などのカスタマイズ性は低いと言えます。

おすすめのクラウド型ファイルサーバー5選

 

特徴

費用(税込み価格)

box over

 VPN

・どのプランもストレージ容量が無制限

・国際的なセキュリティ規格に準拠

・7種類のアクセス権限設定が可能

Business(月額)

・インターネット型:1,980円

・VPN型:2,860円

Business Plus(月額)

・インターネット型:3,300円

・VPN型:4,180円

Enterprise(月額)

・インターネット型:4,620円

・VPN型:5,500円

Fireforce

・3,500以上の企業への導入実績あり

・データはすべて国内のデータセンターにて

安全に保管されているためセキュリティ面も安心

・ランサムウェア対策に力を入れている

Small Business

月額 990円/1ID

Unlimited-1

月額 60,500円

Unlimited-3

月額 107,800円

Unlimited-10

月額 217,800円

Unlimited-30

月額 363,000円

Enterprise

月額 ※ID数により変動

DropBox

Business

・登録ユーザーは7億人以上

・社内外問わずファイル共有が可能

・動画などの重いデータ管理にも対応

・Google Workspace、Slack、Zoomなど

と連携でき直接データを共有できる

Professional

月額 2,200円

Dropbox One

月額 3,190円

Standard

月額 1,650円

Standard + DocSend

月額 6,160円

Advanced

月額 2,640円

Enterprise

容量やカスタマイズによって変動

使える

ファイル箱

・容量課金制により利用ユーザー数

にかかわらず一律料金

・1年契約には全額返金保証あり

・20年以上に渡るサービス運用実績あり

スタンダード

18,480円

アドバンス

52,624円

セキュア

SAMBA

・有料プランのスタンダードプランからは

ユーザー数無制限で利用可能

・料金プランが豊富で無料のフリープランもある

・JFEなどの大企業をはじめ4000社以上に

導入実績あり

フリープラン

0円

スモールプラン

・初期費用 16,500円

・月額 16,500円

スタンダード

・初期費用 27,500円

・月額 27,500円

ビジネス

・初期費用 38,500円

・月額 38,500円

おすすめのクラウド型ファイルサーバーを5つご紹介します。それぞれのサービスの特徴や機能を理解し、自社の目的や規模に適したサーバーを選びましょう。

box over VPN (NTTコミュニケーションズ株式会社)

box over VPN (NTTコミュニケーションズ株式会社)

画像引用:NTTコミュニケーションズ株式会社

box over VPNのおすすめポイント

  • どのプランもストレージ容量が無制限で使える
  • 国際的なセキュリティ規格に準拠している
  • セキュリティについても7種類のアクセス権限設定が可能

box over VPNがおすすめの企業

  • 大容量ファイルのやり取りが多い企業
  • ファイル管理の業務効率を上げたい企業
  • 取引先とのファイル共有を安全に行いたい企業

ドコモビジネスが提供するbox over VPNは、「Box」を活用した容量無制限で使えるクラウドストレージです。

Boxとはファイル共有やコンテンツ管理ができる、ストレージ容量無制限のプラットフォームのこと。box over VPNではBoxをVPN接続によって利用できるため、ストレージ容量を気にすることなく大容量のファイルを保存でき、VPN上で共有できます。

セキュリティ面においても安心です。box over VPNは国際的なセキュリティ規格に準拠しており、各国の政府機関を含む10万社以上の企業で利用されてるため安全性が高いと言えます。

box over VPNには3つのプランが用意されています。料金は、初期費用0円で月額1,980円〜5,500円程度です。

Fireforce (ファイルフォース株式会社)

Fireforce (ファイルフォース株式会社)

画像引用:ファイルフォース株式会社

Fireforceのおすすめポイント

  • 3,500以上の企業への導入実績がある
  • データはすべて国内のデータセンターにて安全に保管されているためセキュリティ面も安心
  • ランサムウェア対策に力を入れている

Fireforceがおすすめの企業

  • 機密性が高いデータのやり取りが多い企業
  • 管理機能が充実したクラウドストレージを導入したい企業
  • ランサムウェア対策などセキュリティに力を入れたい企業

Fireforceはファイルフォース株式会社が提供する国産のクラウドストレージで、ファイルの管理機能に特化しています。

例えば、組織や業務に合わせたフォルダ構成によってスムーズに情報共有でき、オンライン編集も手軽に行えます。また、ファイルを編集するときにダウンロードする必要はなく、使いたいファイルをダブルクリックすればOKです。他にもファイルの保存や名前の変更など、エクスプローラーと同様の操作感で簡単に利用できます。さらに、ユーザーID数の管理が不要なため、全社導入しやすいのも魅力と言えるでしょう。

Fireforceの通信やデータは全て暗号化され、日本国内のデータセンターに送られるため安全性が高いと言えます。

さらに、Fireforceは近年被害が増加している「ランサムウェア」への対策にも力を入れています。ランサムウェアとは端末を感染させて中のデータを暗号化し、データ復元のために対価(金銭など)を要求する不正プログラムのこと。データを人質にして身代金を要求するようなイメージです。

Fireforceでは3つの強力なランサムウェア対策が講じられています。セキュリティ対策を万全にしたい企業には最適と言えるでしょう。

料金プランはストレージ容量などに応じて6つ用意されています。公式サイトでは月額107,800円と217,800円のプランがおすすめされています。

DropBox Business (DropBox社)

DropBox Business (DropBox社)

画像引用:Dropbox社

DropBoxBusinessのおすすめポイント

  • 7億人以上の登録ユーザーがいる
  • 社内や社外問わずファイル共有できるだけでなく動画などの重いデータ管理にも対応している
  • Google Workspace、Slack、Zoomなどと連携でき、それらと直接データを共有できる

DropBox Businessがおすすめの企業

  • 動画などの大容量ファイルや多様なデータを扱う企業
  • ZoomやSlackなどさまざまなアプリと連携して利用したい企業
  • 実績のあるサービスを使いたい企業

Dropbox社が提供するDropBox Businessは、全世界7億人以上が登録するDropboxの法人向けクラウドストレージです。動画などの大容量のファイルや多様なデータを保存でき、チームで効率的に共同作業するための機能が充実しています。

DropBox Businessはデータの同期速度が他社サービスより5倍近く速いため、大規模なチームであるほど業務効率が上がり多くの時間を節約できるでしょう。

さらにMicrosoft Officeとの統合や、Slack、Zoomなど30万件以上のアプリとの連携が可能です。これらのアプリと直接データを共有できるため、作業効率や生産性の向上に繋がります。

料金プランは4種類があり、人気のプランは1ユーザーあたり1,650円の「スタンダードプラン」です。

使えるファイル箱 (使えるねっと株式会社)

使えるファイル箱 (使えるねっと株式会社)

画像引用:使えるねっと株式会社

使えるファイル箱のおすすめポイント

  • 容量課金制で、使用するユーザー数では料金が変わらない
  • 全額返金保証を行っている
  • 20年以上に渡るサービス運用実績がある

使えるファイル箱がおすすめの企業

  • 料金固定でユーザー無制限のサービスを利用したい企業
  • 使いやすい操作性のクラウドサーバーを導入したい企業
  • 使用するストレージ容量に応じたサービスを使いたい企業

使えるねっと株式会社の使えるファイル箱は、20年以上のサービス運用実績があるクラウドサーバーです。料金体系に特徴があり、抜群のコストパフォーマンスが魅力と言えます。

使えるファイル箱は、中小企業にも使いやすいよう必要なストレージ容量に応じて料金が請求される「容量課金制」によってサービスが提供されています。料金も比較的低価格であり、ユーザー数では料金が変わらないため100人でも1,000人でも一律の料金で利用可能です。

1年契約には全額返金保証もついており、初回契約期間中ならいつでも解約・返金申請できるのでお試しで導入してみるのも良いでしょう。

使えるファイル箱は操作性においても優れています。Windowsならエクスプローラー、MacならFinderを利用してファイルの操作や共有リンクの作成ができるため、慣れた操作で簡単に操作できるでしょう。

2種類のプランが用意されており、1年契約だとスタンダードプランは月額18,480円、アドバンスプランは月額52,624円です。

セキュアSAMBA (Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社)

セキュアSAMBA (Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社)

画像引用:Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社

セキュアSAMBAのおすすめポイント

  • 有料プランのスタンダードプランからはユーザー数無制限で利用できる
  • 料金プランも豊富に取り揃えており無料のフリープランもある
  • JFEなどの大企業をはじめ4000社以上に導入実績あり

セキュアSAMBAがおすすめの企業

  • 操作がシンプルで簡単なクラウドストレージを導入したい企業
  • 料金固定でユーザー無制限のサービスを利用したい企業

Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社のセキュアSAMBAは、法人向けに特化したクラウドストレージであり、4,000以上の企業に導入されています。

セキュアSAMBAの特徴として、シンプルで使いやすい操作性が挙げられます。Windowsエクスプローラーに似た操作性で直感的に操作できます。もしわからないことがあっても、メールに加え電話による手厚いサポートが受けられるため安心です。

また、セキュアSAMBAは料金プランが充実しているのもポイントです。初期費用・月額費用が共に0円のフリープランに加え、月額16,500円〜38,500円の3つの有料プランが用意されています。

ファイルサーバーについて解説しました

本記事ではファイルサーバーの種類や特徴、導入がおすすめの企業などについて解説しました。ファイルサーバーにはオンプレミス型とクラウド型の大きく2種類があり、それぞれ特徴が異なります。

企業がファイルサーバーを選ぶ際のポイントは以下の7つです。

  • 導入する目的を明確化する
  • 利用シーン、利用ユーザーを明確化する
  • 対象となるデータやデータ量を明確化する
  • データの特性を意識する
  • セキュリティポリシーとの整合性を確認する
  • 生産性を損なわないよう注意する
  • 費用対効果などをきちんと算出する

上記のポイントを押さえ、自社の特性や利用目的に適したファイルサーバーを導入すれば業務効率の向上や情報セキュリティ強化に役立ちます。ぜひ本記事を参考にして、自社に最適なファイルサーバーを選びましょう。